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『パイレーツ・ロック』未公開シーンに刻まれた、名匠リチャード・カーティスのビートルズへ捧げる熱い想い

(c)Photofest / Getty Images

『パイレーツ・ロック』未公開シーンに刻まれた、名匠リチャード・カーティスのビートルズへ捧げる熱い想い

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出待ちするほどだったビートルズ愛



 1956年生まれのリチャード・カーティスは、この物語の当時まだ10歳ほど。親の仕事の都合でニュージーランド、スウェーデン、フィリピンなど様々な国々を転々としつつ、浴びるほどレコードを聴かせてくれた姉やベビーシッターの影響もあり、いつのまにか彼自身も音楽が大好きになっていたという。中でもザ・ビートルズは、ひときわ崇高な輝きに包まれた存在だった。


 そんなカーティスの熱狂ぶりを象徴するエピソードがある。7歳の頃、彼が住んでいたスウェーデンにビートルズがやってくると知り、雪の降りしきるストックホルムのコンチネンタル・ホテル前で3時間も出待ちを続けたというのだ。結局、憧れの4人には会えずじまいだったものの、それでもDVD特典映像などで「最高にワクワクした体験だった」と語る彼の様子からは、人生に潤いを与えてくれた彼らへの感謝の思いが伝わってくる。


『イエスタデイ』予告


 2019年には、脚本を担当した『イエスタデイ』で、「もしもビートルズが存在しなかったら?」という想像世界を描き、あふれる愛情を逆説的に吐露してみせたカーティス。


 今になって振り返ると、過去のカーティス作品にも無数の痕跡があった。例えば『ラブ・アクチュアリー』では冒頭の婚礼シーンで"All You Need Is Love"のメロディが響く。誰もが知るこの曲をあえて序盤に使用することにより、大勢の人々が集う群像劇を"LOVE"というテーマのもとで、グッと束ねあげる効果がもたらされたのは言うまでもない。


 また、監督引退を宣言した『アバウト・タイム』は、一見するとビートルズとは何ら関連性がないように見えながらも、実はカットされた未使用シーンに”アビイ・ロード”にまつわる名場面が隠されていることで有名だ。




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