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『クリープショー』スティーヴン・キングの人間描写と、ジョージ・A・ロメロの卓越した演出、そして、あの虫の大群

© 2018 Paramount Pictures.

『クリープショー』スティーヴン・キングの人間描写と、ジョージ・A・ロメロの卓越した演出、そして、あの虫の大群

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ホラーマンガ雑誌の盛衰



 『クリープショー』は、多くの若者たちの後ろ暗い欲望の受け皿となった、「クリーピー」「イーリー」などのホラー・コミック雑誌へのオマージュとして作られている。中でも有名なのは、1950年以降に刊行された「テールズ・フロム・ザ・クリプト」を代表とするECコミック社のホラー・コミック雑誌である。


 フランケンシュタイン博士やジキルとハイドといったクラシックなテーマから、狼男や幽霊屋敷に超常現象といったファンタジックなホラー物語、加えて犯罪ものや復讐劇、差別やリンチといった社会問題をSFに落とし込んだスリラー、ファムファタールもののようなサスペンスまで、取り上げるテーマは多岐にわたるが、共通してどれもこれも刺激が強く、しかもジャック・デイビスらの見事なアートワークで語られていた。


 ツイストの効いたECコミック社のホラー・コミックは多くのファンを獲得するが、一方で親や学校の先生、精神科医まで含めた「良識的な大人」の憂さ晴らしの餌食になってしまう。中でも精神科医のフレデリック・ワーサムはコミックが未成年者たちに及ぼす悪影響をテーマに何冊もの著書を出版し、ホラー・コミックを糾弾していった。


『クリープショー』© 2018 Paramount Pictures.


 その影響から、コミックの倫理規定委員会からの締め付けは理不尽なまでに厳しくなり、加えて流通業者もECコミック社の出版物取引拒否を決定してしまう。それら反発を受け、1954年にECコミック社はホラー・コミック雑誌の廃刊を決定する。しかし、熱狂的なファンが多かったこともあり「テールズ・フロム・ザ・クリプト」誌は何度も再販され、今では豪華なハードカバーのセットや、電子書籍でも入手可能である。


 『クリープショー』に登場するホスト「クリープ」は、ECコミック社のホラー・コミック雑誌のホスト「クリプト・キーパー」「オールド・ウィッチ」「ヴォルト・キーパー」へのオマージュである。また、脚本を担当したスティーブン・キングはもちろん、監督のジョージ・A・ロメロ、特殊メイクのトム・サヴィーニもECコミックのファンを公言しており、『クリープショー』は、ホラー・コミック雑誌の中でもECコミック社製のものへのトリビュート作品になっている。


 ちなみに『クリープショー』に登場する架空のコミック「クリープショー」は、70年代にホラーコミック作家として活躍したバーニー・ライトソンによる作画で出版され、こちらもいまだに再販が重ねられ、現在でも入手可能である。





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