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『危険な情事』採用された案か? 却下された案か? エンディング論争に見るヒットの理由 ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『危険な情事』採用された案か? 却下された案か? エンディング論争に見るヒットの理由 ※注!ネタバレ含みます。

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


Index



 映画には”もう1つのエンディング”が存在することもある。何らかの理由で日の目を見なかったバージョンだ。特に『危険な情事』(87)の場合は、撮影されたものの採用されなかった内容があまりにも有名で、公開版との比較論はもはや常識にすらなっている。この議論は、映画がテーマ重視か、それともビジネス優先かを比較する上では絶好の議題でもある。


 イギリスの映画監督で脚本家でもあるジェームズ・ディアデンが、自らの脚本を監督した短編映画『Diversion』(80)を基に、『タイム・アフター・タイム』(79)の監督兼脚本家として知られるニコラス・マイヤーの協力を得て完成させたのが『危険な情事』の脚本である。実際に公開されたプロットはこうだ。


ヒロインをサイコパスとして描いた公開版



 マンハッタンで弁護士として成功を手に入れたダン・ギャラガー(マイケル・ダグラス)は、美しい妻ベス(アン・アーチャー)と一人娘のエレンに囲まれて、充実した家庭生活も手にしている。しかし、妻子が家を留守にしたある週末、ダンはとある出版パーティで知り合った魅力的な編集者、アレックス(グレン・クローズ)と関係を持ってしまう。その結果、彼は大切な家族をも巻き込む恐怖を味わうことになる。ダンにとっては一夜だけのつもりが、アレックスにとっては真剣な交際の始まりだったのだ。この2人の意識の食い違いが露呈していくプロセスが、本作の見どころでもある。


『危険な情事』予告


 激しく愛し合ったアレックスをベッドに残し、そっとアパートから立ち去ることで、一夜だけの区切りをつけたつもりのダンだったが、その後もアレックスにしつこく誘われて、もう一度関係を持ってしまう。再び立ち去ろうとすると、なんとアレックスは自ら手首を切ってダンを引き留めようとする。応急手当をして宥めることで今度こそ終わりにしたはずが、突然オフィスに電話がかかってくる。秘書に頼んで居留守を使うと、今度は自宅にまで電話してくる。その電話で、妊娠していることを告げたアレックスは、子供は産むつもりだし、責任を取るべきだとダンに詰め寄るのだった。『あなたが責任を感じ取るまで、私は決して諦めない』アレックスの言葉に偽りはなかった。


 寒々としたアパートで1人孤独に耐えるアレックスと、自宅に友達夫婦を招いて談笑しながら会食するダンを対比させるショットには、少なからず世の中の不平等を感じさせる。果たして、アレックスだけが悪いのか?という疑問が浮かび上がるのだ。


 ダンにすべてを聞かされたベスから、これ以上近づくと殺すと警告され、追い詰められたアレックスは、遂にはエレンを誘拐してしまう。激昂したダンはアレックスのアパートに乱入し、激しく暴行を加える。その後、アレックスは夫妻のバスルームに突如姿を現し、ナイフを振りかざしてベスに襲い掛かる。階下でそれを察知したダンが駆けつけ、渾身の力でアレックスをお湯に沈め溺死させるが、息を吹き返し再び起き上がるアレックス。しかし、ベスが放った銃弾を浴びて、アレックスは今度こそ息絶えるのだった。





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