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『ニキータ』フランス映画の伝統を汲み、傑作となりえたリュック・ベッソンの分岐点

© 1990 Gaumont (France) / Cecchi Gori Group Fin. Ma. Vi -srl

『ニキータ』フランス映画の伝統を汲み、傑作となりえたリュック・ベッソンの分岐点

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ベッソンはヌーヴェルヴァーグの継承者だった!?



 1980年代後期、ベッソンはフランス映画界の気鋭として注目を集めており、ジャン=ジャック・ベネックスやレオス・カラックスとともに“ネオ・ヌーヴェルヴァーグの旗手”と称されることもあった。ベネックスは『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』(86)、カラックスは『汚れた血』(86)、そしてベッソンは『グレート・ブルー』(88)(=『グラン・ブルー』)という決定打をそれぞれ放つ。これにより、彼らは次なる一手が注目される存在となっていた。


 今となっては意外な気もするが、彼らには確かに共通点があった。たとえば、ストリートにカメラを向けることに重きを置いた撮影スタイル。これはジャン=リュック・ゴダールに始まるヌーヴェルヴァーグの基本姿勢に通じるものがある。また、“犯罪”を映画に盛り込む、フィルムノワールの伝統も受け継いでおり、フランス映画の良きスタイルの継承者でもあったのだ。



『ニキータ』© 1990 Gaumont (France) / Cecchi Gori Group Fin. Ma. Vi -srl


 しかし、ベッソンは彼らとは決定的に違う感性を持っていた。ハリウッド製エンタメ作品からの影響の強さだ。アーティスティックな感性にこだわるフランスと、商業主義的なハリウッドでは、同じ映画でも大きな隔たりがある。しかし、監督デビュー前に渡米して映画製作を学んだ経験のあるベッソンは、その垣根を飛び越えようとしていた。実際『グレート・ブルー』は世界公開を視野に入れ、フランス語ではなく英語のセリフで撮影された。


 ベッソンのハリウッド志向は、さらに『ニキータ』へと受け継がれる。前作とは異なり、今回はフランス語による撮影だが、セリフはさほど多くない。重要ではなかった。というのも、ベッソンが目指したのは役者の顔や肉体が大きくモノを言うアクション映画だからだ。こだわったのは、リアルな立ち回り。戦闘時のニキータの目線は、つねに向けた銃口と同じ方向をとらえている。そんな射撃の基本を踏まえたうえで繰り出されるアクションは、一見するとハリウッド映画的な派手な見せ場ではあるが、実はよく考えられている。




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