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『ニキータ』フランス映画の伝統を汲み、傑作となりえたリュック・ベッソンの分岐点

© 1990 Gaumont (France) / Cecchi Gori Group Fin. Ma. Vi -srl

『ニキータ』フランス映画の伝統を汲み、傑作となりえたリュック・ベッソンの分岐点

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ワイドスクリーンより、パリに愛を込めて



 『ニキータ』は、本国フランスはもちろん、世界的にもヒットを飛ばし、ハリウッドではリメイク『アサシン』(93)が作られた。こちらはハリウッド映画らしく、説明的なセリフを用いて設定を固めており、見比べてみるのも一興だ。また、1997年にはカナダで、2010年にはアメリカで、本作に基づくTVドラマが作られており、どちらも数年にわたって制作された人気シリーズとなった。


 ベッソンはこの後、英語で撮った『レオン』『フィフス・エレメント』(97)の世界的な成功でその名をワールドワイドに轟かせた。2001年には打倒ハリウッドを掲げ、フランス製の娯楽作を世界に発信するためのスタジオ、ヨーロッパコープを設立。現在も世界標準のエンタテインメントを放ち続けている。それを思うと、『ニキータ』は、まさに分岐点となった作品であり、ベッソンが最後に手がけたフランス映画らしいフランス映画ではないだろうか。



『ニキータ』© 1990 Gaumont (France) / Cecchi Gori Group Fin. Ma. Vi -srl


 そんなことを考えるのは、ベッソンの発言が頭に残っているから。ベッソンには何度か取材させてもらったが、ワイドサイズの映像へのこだわりに関するコメントは忘れられない。「ワイドスクリーンではパリの美しさが映える。高層ビルが連なるニューヨークでは、こうはいかない」――ワイドサイズで撮影された『ニキータ』。やや見上げるような角度からとらえられた、パリの街並は、もうひとつの主役と言えるかもしれない。



文:相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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