1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ロリータ
  4. 『ロリータ』100%キューブリック印。いまだに議論を呼び続けている問題作
『ロリータ』100%キューブリック印。いまだに議論を呼び続けている問題作

(c)Photofest / Getty Images

『ロリータ』100%キューブリック印。いまだに議論を呼び続けている問題作

PAGES


キューブリックが心酔した才能、天才喜劇俳優ピーター・セラーズ



 ジェームズ・メイソン、スー・リオンも素晴らしいが、この映画で特筆すべきなのはクレア・クィルティ役を演じたピーター・セラーズだろう。『ピンク・パンサー』シリーズのクルーゾー警部でお馴染みの、言わずと知れたイギリスを代表する喜劇俳優である。彼が主演したコメディ映画『The Battle of the Sexes』(60)を観て衝撃を受け、漫才のような寸劇を収録したコメディ・アルバム『The Best Of Sellers』(58)を聴いて感銘を受けたキューブリックは、彼の起用を即断する。


 クィルティはハンバートとロリータにつきまとうために、様々な変装をするという突飛な役どころ。それでいて、ロリータを堕落へと誘い込むメフィストフェレスでもある。いわば、道化と悪魔が共存する存在だ。変幻自在でアクロバティック、ピーター・セラーズのコメディアンとしての計り知れない才能を認めたキューブリックは、原作よりも大幅に出演シーンを増やして、映画に独特なユーモア感覚を持ち込んだ。


 セラーズの持ち味を極限まで引き出そうと、キューブリックはほとんどの場面で即興演技を許した。ハンバートと卓球するシーンは、セラーズの提案だったという。テイクを重ねるとアドリブの質が落ちることを懸念して、彼の出演シーンは複数台のカメラで同時撮影。本作のブラック・コメディのような佇まいは、セラーズの独演会によってもたらされているのだ。


『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』予告


 キューブリックの次作『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(64)では、ストレンジラヴ博士、マンドレイク大佐、マフリー大統領の一人三役を演じ、その怪物ぶりをより発揮させている。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ロリータ
  4. 『ロリータ』100%キューブリック印。いまだに議論を呼び続けている問題作