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『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』ジャスティン・リン監督復帰で始まるシリーズ最終章の幕開け!

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『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』ジャスティン・リン監督復帰で始まるシリーズ最終章の幕開け!

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初めて映像で描かれるトレット家の過去



 今回の物語の肝になっているのは、ワイスピ一座の座長と呼ぶべきヴィン・ディーゼル扮する主人公ドミニク・トレットに「実は弟がいた!」という新設定。後付けの設定を大胆にブッ込むことでシリーズを盛り上げてきた「ワイスピ」だけに、もはや何が起きても仰天しはしない。むしろ「さすがはワイスピ!」と感心するのが、今回の弟設定が、一作目でドミニクが語った父親の思い出話とちゃんと繋がっていることだ。


 一作目の中盤、ドミニクはブライアンに対して、ストックカーレースのドライバーだった父親のジャックがレース中の事故で亡くなったこと、そして接触事故を起こしたケニー・リンダーという男をレンチで殴ってレース界から追放された顛末について語っている。


 ドミニクが怒りに任せてレンチで人を殴り、傷害事件を起こしたこのエピソードは、実は5作目『ワイルド・スピードMEGA MAX』(11)でも間接的に引用されている。同作ではドミニクがホブス捜査官(ドウェイン・ジョンソン)とシバき合う対決シーンがあるのだが、ドミニクはホブスに馬乗りになって、近くにあったレンチを振り下ろそうとする。しかしミア(ジョーダナ・ブリュースター)の制止する声で我に返り、レンチをホブスではなくコンクリの床に叩きつけるのだ。


『ワイルド・スピードMEGA MAX』予告


 このシーンはシリーズでも非常に重要だと思っている。それまでドミニクをただの凶悪犯罪者扱いしていたホブスが、ドミニクが無用な暴力に任せるような人間ではないと、認識する布石になっているからだ(ホブスの部下のエレナはいち早く気付いていたが)。またドミニクにとっても、過去の自分と決別し、やんちゃなカリスマ犯罪者から、ファミリーの長として信頼のおける存在に成長した瞬間だろう。


 『MEGA MAX』は一作目の時とはほぼ別のチームによって製作されているのだが、過去作のセリフを丹念に拾って、その後の展開やキャラクターに活かせるのはシリーズものの強み。「ワイスピ」シリーズがコアなファンを獲得することができたのも、こういった細やかな積み重ねのおかげだと思っている。


 『JET BREAK』では、この一作目で触れられていたエピソードから物語がスタートする。それに併せて、最初に映し出されるユニバーサルのロゴもフィルム仕様に変えられているのだから芸が細かい。時代は1989年。映画のドミニクたちの若き日に、昨今流行りのCGによる若返らせ効果ではなく、それぞれに若い役者を配していることも、アナログに強いこだわりがある「ワイスピ」らしさと言えるだろう。





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