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『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』ジャスティン・リン監督復帰で始まるシリーズ最終章の幕開け!
2021.08.04
舞台裏でのゴタゴタはどうなった?
最後に、内幕に関して気になるゴタゴタについてまとめておく。ドウェイン・ジョンソン演じるルーク・ホブス捜査官は、ヴィン・ディーゼルやローマン役のタイリース・ギブソンとの不仲説が何度か取りざたされており、『JET BREAK』にも参加していない。
一方でスピンオフの『スーパーコンボ』(19)では主演しているし、『スーパーコンボ』の続編企画も発表されている。ジャスティン・リンも正編の10作目、11作目でホブス(や他の『JET BREAK』に登場していないキャラたち)を排除するつもりはないとコメントしている。
『スーパーコンボ』予告
ヴィン・ディーゼルとの確執については、2019年9月28日の、ドウェインがInstagramでヴィンに感謝するメッセージ動画を投稿し、すでに解決したかと思われていた。また一時はドウェインが出演するなら自分は降板するとまで言っていたタイリースは、2020年12月に出演したテレビ番組で和解したことを告白。「今では毎日やり取りするほどの仲良し」だという。これでファミリーの仲違いは解消されたかに思えた。
ところが今年6月にヴィン・ディーゼルがフィットネス雑誌Men's Healthの取材で、ドウェインとの緊張関係は「プロデューサーとしていい演技を引き出すための愛のムチだった」と確執が起きた理由を説明。これに対してドウェインはハリウッドレポーター誌に「笑ったよ、爆笑した。みんな笑ったと思う。『JET BREAK』も、残りの二作も成功を祈ってる、オレは出ないけどな」と答えている。
ぶっちゃけヴィン・ディーゼルの言い分は、真実はどうあれプロデューサーが出演者に言うには随分と失礼な印象を受ける。しかしそれでもホブスの復帰には望みを繋ぎたいので、エゴや自慢話はほどほどに収めて仲直りして欲しいものである。
もうひとり、シリーズを支えてきた重要人物の去就も気になる。三作目の『TOKYO DRIFT』(06)でジャスティン・リンと共に初参加し、以来、シリーズの脚本を一貫して手がけてきたクリス・モーガンだ。
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』 (c) 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
モーガンは、制作準備が重なったとしてスピンオフの『スーパーコンボ』を優先し、『JET BREAK』には一切クレジットされていない。代わりに脚本を手がけたのは、前述した通りジャスティン・リン監督と、SFアクション『KIN/キン』(18)で注目されたダニエル・ケイシーだ。
モーガンは6作目でリンがシリーズを離れた後も、「潜水艦と車がチェイスする」といった突拍子もないアイデアを提案していた「ワイスピ」ノリの立役者。『EURO MISSION』(15)以降は製作総指揮、プロデューサーとしてもクレジットされてきた。ジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウが半ば仲間になったことで「デッカードはハンを殺した過去に落とし前を付けるべきだ」というファンの呼びかけ(#JusticeForHan)に、いち早く反応したのもモーガンだった。
客観的な事実として、ヴィン、リン、モーガンの三頭体制になり、ロック様ことドウェイン・ジョンソンを呼び込んだ『MEGA MAX』以降の時代が現在の「ワイスピ」興隆を作ったことは間違いない。現時点では10作目と11作目の脚本を誰が執筆するのかは公表されていないし、ロック様の復帰は望み薄だが、ファミリーを標榜してきた本シリーズがどんな落とし所を見つけるのか、ストーリーの行く末以上に注目している。
参考:
https://www.menshealth.com/entertainment/a36663682/vin-diesel-f9-interview/
文:村山章
1971年生まれ。雑誌、新聞、映画サイトなどに記事を執筆。配信系作品のレビューサイト「ShortCuts」代表。
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配給:東宝東和
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