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『ディープ・ブルー』サミュエル・L・ジャクソンの衝撃的かつ最高なシーンはいかにして生まれたか ※注!ネタバレ含みます。
※本記事は物語の一部核心に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。
『ディープ・ブルー』あらすじ
太平洋上に建造された、海洋医学研究施設(アクアティカ)。そこでは、凶暴なマコシャーク(青鮫)の脳組織から新薬を製造する研究を行っていたのだが、研究を急いだスーザン博士が鮫のDNAを操作したために、サメは巨大化し、高度な知識を持つ新種と化してしまう。やがて、人類と同様の知能を備えた巨大ザメは殺戮ゲームを開始。おりしも海上は激しい嵐に見舞われ、海の孤島となった研究所では人類とサメとの死闘が始まる。
Index
サメ以上に、サミュエルを楽しむ映画として
夏といえば海。海といえばサメ。毎年、その時期になるといろんなところで「サメ映画特集」を見かけるが、それらの定番作の中でも、私にとって特に忘れられないのが、『ディープ・ブルー』(99)である。
きっかけは大学時代の友人。いつもは映画に関心を示さない彼が、この映画をいち早く鑑賞するや、熱に浮かされたような表情で、力強く勧めてきたことだった。
当初、私の頭の中には「どうせ『ジョーズ』(75)の二番煎じでしょ?」的なナメた想いがあった。だが、よくよく聞くと友人がお勧めする理由は”サメ”とは全く別のものだという。彼の心を全部かっさらって行ったのはあの男。説教俳優ことサミュエル・L・ジャクソンだ。
『ディープ・ブルー』予告
「これまでサミュエルが演じてきた役柄を逆手にとった、とにかく最高のワンシーンがあるんだ。よくあんなの思いついたよなあ」
この時、友人がフツーにサメ映画としての素晴らしさを語ったなら、私の心は1mmも動かされることはなかっただろう。サメではなく、サミュエル。このパワーワードに感電したからこそ、私はすぐさま劇場へ足を運び、「なるほど!」と膝を打った。映画には「楽しんだもの勝ち」という側面が少なからずあるが、結果、私は大いに楽しんだ。他でもないサミュエル映画としての魅力に取り込まれてしまったのだ。