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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ギャングの生き様を通して描く20世紀アメリカの記憶

(c)Photofest / Getty Images

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ギャングの生き様を通して描く20世紀アメリカの記憶

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』あらすじ

1920年代のニューヨーク。ユダヤ系移民の少年ヌードルスは同年代のマックスと出会い、最初こそいがみ合うものの、深い友情で結ばれていく。やがて彼らは仲間たちと共に禁酒法を利用して荒稼ぎするようになるが、ヌードルスは殺人を犯し刑務所へ送られてしまう。そして出所したヌードルスを待っていたのは勢力を広げたマックスだった……。


Index


『ゴッドファーザー』を蹴ったセルジオ・レオーネ、念願のギャング映画



 有名な話だが、『ゴッドファーザー』(72)の監督として最初にオファーされたのはセルジオ・レオーネだった。『荒野の用心棒』(64)、『夕陽のガンマン』(65)、『続・夕陽のガンマン』(66)の「ドル箱三部作」をはじめ、『ウエスタン』(68)、『ミスター・ノーボディ』(73)など数々の傑作西部劇を生み出して来た彼は、マカロニ・ウェスタンの父とまで称される存在。ギャング映画は畑違いに思えるが、パラマウントの重役たちは、「彼ならば、舞台を西部開拓時代から20世紀初頭のニューヨークに移しても、神話的な物語を紡ぐことができるだろう」と考えたのである。


 しかし、セルジオ・レオーネは首を縦には振らなかった。彼は、マリオ・プーゾの原作がどうしても好きにはなれなかったのだ。ニューヨークを牛耳るイタリア系マフィアで、金も名誉も手に入れたコルレオーネ・ファミリーは、ギャングと呼ぶにはあまりにも洗練されすぎている。レオーネが考えるギャングとは、もっと野心的でもっと粗野な存在だった。こんなの全然ギャング映画じゃない!セルジオ・レオーネは礼節をわきまえた態度で、申し出を断ったのである。


 その後『ゴッドファーザー』は、俊英フランシス・フォード・コッポラの手によって映画化され、大ヒットを記録。ハリウッド映画史にその名を刻む名作となったことは、皆さんご存知の通りである。千載一遇のチャンスを逃し、さぞかしレオーネは後悔したことだろう。だが彼には、すでに温めているギャング映画の企画があった。それこそが、レオーネの遺作にして代表作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)。『ゴッドファーザー』に肩を並べるギャング映画の金字塔である。


『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』予告


 舞台は1920年代のニューヨーク。ロウワーイーストサイドのスラム街で、ユダヤ系移民のヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)とマックス(ジェームズ・ウッズ)が運命的な出会いを果たし、友情を育みながらギャングとして上り詰めるまでを、壮大なスケールで描いた一大叙事詩。ここには、レオーネが考えるギャング映画の全てが詰まっていた。これこそが、『ゴッドファーザー』を蹴ってまで撮りたかった映画なのだ。


 そういえば、『ゴッドファーザー PART II』(74)は現在と過去の時制が入り乱れる手法が特徴的だったが、この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』も1920年代、1930年代、1960年代と時制が次々にフラッシュバックする。製作にあたって、レオーネはかなり『ゴッドファーザー』を意識していたのかもしれない。そしてどちらの作品にも、ロバート・デ・ニーロが出演している。




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