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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ギャングの生き様を通して描かれる、20世紀アメリカの記憶

(c)Photofest / Getty Images

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ギャングの生き様を通して描かれる、20世紀アメリカの記憶

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「2時間24分バージョン」、「3時間49分バージョン」、「4時間11分バージョン」



 撮影終了時には、およそ10時間にも及ぶ映像が残された。セルジオ・レオーネはこれを6時間程度に切り詰め、3時間の映画を二部作にして公開しようと目論む。もちろん、そんな無茶なアイディアはプロデューサーによってソッコー却下。上映時間が5時間以上あるベルナルド・ベルトルッチ監督の『1900年』(76)が、興行的に失敗していたことも理由の一つだった。レオーネは断腸の想いでさらにフィルムを切り刻み、3時間49分にまで短縮する。


 だが、ここで思わぬ事態が発生する。1984年のカンヌ映画祭ではオリジナルの3時間49分バージョンがプレミア上映されたのだが、アメリカの劇場では製作会社のラッド・カンパニーが勝手に編集した2時間24分バージョンが上映されたのだ。「上映時間を短くすることで、少しでも映画館の回転率を上げたい」という切実な想いからの判断だったのだが、これが最悪の一手。全てのシーンが時系列順に並べられたことで、映画の持つ“大河感”が胡散霧消してしまい、1920年代(少年時代)のシーンを大幅にカットしたことで、“叙情感”が跡形もなく消え失せてしまった。



『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(c)Photofest / Getty Images


 映画は、興行的にも批評的にも大失敗。3,000万ドルの予算に対して530万ドルしか稼げず、ラッド・カンパニーは破産寸前にまで追い込まれてしまう。やがてビデオやDVDで本来の3時間49分バージョンが発売されるようになると、打って変わって『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は傑作との評価が高まり、現在ではギャング映画の古典として揺るぎない地位を築いている。ジェームズ・ウッズの証言によれば、ある評論家は2時間24分バージョンを1984年ワースト映画と酷評したが、3時間49分のバージョンを観るなり「1980年代のベスト!」と絶賛したそうな。


 ちなみにこの映画、22分の未公開映像が追加された4時間11分バージョンも存在する(どんだけあんねん!!)。『カッコーの巣の上で』(75)でアカデミー主演女優賞に輝いたルイーズ・フレッチャーが墓地管理人として登場していたり、リムジン運転手とヌードルスの会話シーンが追加されていたり(リムジン運転手を演じるのは、プロデューサーのアーノン・ミルチャン)、デボラが舞台で「クレオパトラ」を演じるシーンがあったり。このぶんだと、レオーネが夢想していた「合計6時間の二部作」も実現するかも。いや、ない。




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