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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ギャングの生き様を通して描く20世紀アメリカの記憶

(c)Photofest / Getty Images

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ギャングの生き様を通して描く20世紀アメリカの記憶

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実在のギャングの目を通して描かれる「もう一つのアメリカ近現代史」



 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は、ハリー・グレイの半自伝的小説「The Hoods」から着想を得ている。ニューヨークを舞台に繰り広げられる、ユダヤ系ギャングたちの物語。イタリア人の彼にとって、“自由の国”を描くことは特別な意味があった。


 「アメリカはとても変化に富んでいて刺激的なので、半年後に戻ってみるとすっかり変わっていたりする。私が何よりも興味を持っているのは、アメリカが矛盾に満ちていて、常に変化していることだ。もうそのテーマには手を出さないと決めていても、いつの間にかまたやりたいという気持ちが芽生えてくる」(セルジオ・レオーネへのインタビューより引用)


 セルジオ・レオーネはこの小説に大いに触発され、『続・夕陽のガンマン』の完成後すぐシナリオに取り掛かる。実は、セルジオ・レオーネは原作者のハリー・グレイと何度か顔を合わせていた。映画に登場する「ファット・モーズ」は、二人が初めて出会ったバーをモチーフにしているんだとか。レオーネは何度もミーティングを重ね、ハリー・グレイの目を通して描かれる「もう一つのアメリカ近現代史」の再現に力を注いだ。



『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(c)Photofest / Getty Images


 だがこの作品が世に出るまでには、そこから20年弱の時間を要した。理由の一つは、映画会社が西部劇以外をなかなか作らせようとしなかったこと。マカロニ・ウェスタンの父とまで言われた男なのだから、できるだけ西部開拓時代のアクションを撮らせたいと思うのは、当然のこと。彼は周囲が望む西部劇を作りつつ、いつか訪れるであろうギャング映画のために牙を研いだ。


 もう一つは権利問題。「ザ・フッズ」の映画化権は、テレビドラマ『Dark Shadows』の演出で知られるダン・カーティスが握っていて、なかなかそれを手放そうとしなかった。そこでレオーネは一計を案じる。プロデューサーのアルベルト・グリマルディに頼み込み、ダン・カーティスの監督・プロデュース作『家』(76)への出資を提案したのだ。交渉は成功し、遂に映画化権をゲットする。


 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ…昔々、禁酒法時代のアメリカで。セルジオ・レオーネが願って止まなかった「もう一つのアメリカ近現代史」は、ようやく製作のスタート地点に立つことができたのだ。



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