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『ニューヨーク1997』SFアクションの傑作を生みだしたジョン・カーペンターの淡白さ

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『ニューヨーク1997』SFアクションの傑作を生みだしたジョン・カーペンターの淡白さ

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『ニューヨーク1997』あらすじ

1997年、アメリカ合衆国の犯罪率は400%を超え、政府はニューヨークのマンハッタン島を刑務所にした。犯罪者はそこに集められ、誰も出ることができない恐怖の島となった。そんなニューヨークに大統領が乗るエアフォースワンが墜落。その救助を、かつての特殊部隊員スネーク・プリスキンが命じられる。しかも24時間以内に任務を遂行しなければ、体内の小型爆弾が爆発してしまう…。


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世界のクリエイターを熱狂させる傑作



「Call Me Snake(スネークと呼べ)」。


 ニヒルな決め台詞がなんともカッコいいスネーク・プリスキン(カート・ラッセル)を生んだ『ニューヨーク1997』(81)の面白さは、今見ても全く色褪せない。そればかりか観るたびに新たな発見があり、その魅力は更新されていく。


 実際、本作に影響されたクリエイターは数多い。J・J・エイブラムスは少年時代に本作に魅せられた思い出を喜々として語り、世界的なゲームクリエイター小島秀夫は代表作「メタルギアソリッド」シリーズの主人公に「スネーク」という名前をつけ、アイパッチまで模倣した。そんな世界のクリエイターを熱狂させる傑作『ニューヨーク1997』は、カーペンターが映画作家としてのキャリアを上り詰めていく最中に産み落とした幸福な子供だろう。


『ニューヨーク1997』予告


 1970年、若きカーペンターは南カリフォルニア大学映画学科で共に学んだ、ダン・オバノン(後に『エイリアン』〔79〕の脚本を執筆)らとSF映画『ダーク・スター』の製作を開始。紆余曲折を経て74年に完成し、翌年全米で公開。プロとしてのキャリアをスタートさせた。76年には、敬愛するハワード・ホークスの西部劇『リオ・ブラボー』(59)の設定を現代に移し替えたアクション『ジョン・カーペンターの要塞警察』を監督。同作はアメリカでの評価が芳しくなく、興行的にも失敗したが、イギリスの映画祭で上映されると大絶賛され、カーペンターは一躍、若手監督の有望株に躍り出た。


 その評価がアメリカに逆輸入され、続いて取り組んだのが『ハロウィン』(78)だった。本作は全世界で大ヒットを記録。さらに白マスクの殺人鬼、マイケル・マイヤーズを生み出したことで、後の『13日の金曜日』(80~)シリーズなどのスラッシャー映画に計り知れない影響を与える記念碑的作品となった。その余勢を駆って送り出された次作『ザ・フォッグ』(80)もホラー映画だが、『ハロウィン』とは全く異なる古風な装いをまとった幽霊譚。海賊の幽霊たちが霧と共に町を襲うという古めかしい物語を、ソリッドな演出で現代にアップデートしてみせた。


 あらためて振り返るとカーペンターは、デビュー作からSF、アクション、ホラーという近接しながらも微妙に異なるジャンルものを演出、そのどれも見事にまとめ上げて来たことがわかる。映画監督として様々なパターンの作品で腕を磨き、まさに上り調子と言える時期に世に送り出したのが『ニューヨーク1997』だった。





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