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『スパークス・ブラザーズ』のここを見よ! 面白過ぎる兄弟バンドの素顔に肉迫!

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『スパークス・ブラザーズ』のここを見よ! 面白過ぎる兄弟バンドの素顔に肉迫!

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ビッグなバンドになれない理由とは!?



 まずはスパークスというバンドについて、もう少し説明しておこう。バンドとは言え、スパークスは実質的に、ロンとラッセルのメイル兄弟によるユニット。ロックスターのようなルックスと変幻自在のボーカルでオーディエンスを魅了する弟ラッセル。対する兄ロンはヒトラーのようなチョビ髭をはやし、気難しい顔つきで鍵盤を弾く。このふたりのユーモラスな対比は、スパークスのビジュアル的なトレードマークでもある。


 曲つくりは基本的にロンが手がけ、そこにラッセルが肉付けしていくというもの。音楽性は時代によって異なるが、それは後述する。基本的にはポップ・ミュージックで、歌詞がユーモアやウィット、皮肉に富んでいる。ジャケットも同様で、「アングスト・イン・マイ・パンツ」「イン・アウター・スペース」「エキゾチック・クリーチャー・オブ・ザ・ディープ」などのアルバムのアートワークはジョークが効いており、ひと目見ただけでニヤリとさせられるだろう。



『スパークス・ブラザーズ』© 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED


 『スパークス・ブラザーズ』では彼らの生い立ちから現在までの70年以上の歳月を駆け抜ける。合間に、当人たちはもちろん、元バンドメンバーや、彼らのファンであることを公言するミュージシャン、俳優、コメディアンらのインタビューが挿入され、スパークスの魅力を検証していく……という寸法。このインタビューの連なりは、とにかく歯切れがよくてリズミカル。エドガー・ライト自身も“ファン”という名目でシラっとインタビューに応えていたりする。再現映像はアニメもあり、感覚的にはポップな作り。「エドガーの映画作りの感性は、僕らが音楽を作る際のそれと似ていて波長が合った」とラッセルは振り返るが、映画はもちろん音楽やゲーム、アニメなどのカルチャーを吸収したライト作品のユーモアを思うと納得がいく。


 スパークスのユーモアの点で、劇中で印象に残るエピソードについて、ひとつふれておきたい。スパークスの大ファンであるレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーは、インタビューでこう語る。「ポップ・ミュージックについて僕がとまどうのは、ユーモアに対するリスナーの許容性の欠如だ。だからスパークスはビッグになれない。面白過ぎるから!」――ロックになにがしかの硬派な要素を求める人は多いが、スパークスはそのような固定観念に縛られない。ある意味、そこが彼らの不幸でもあった。




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