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『メランコリア』クリームの上にクリームを重ねたような、甘美な黙示録

(c)Photofest / Getty Images

『メランコリア』クリームの上にクリームを重ねたような、甘美な黙示録

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孤独な二つの魂



 当初本作の主役は、トリアーに熱烈ラブコールを送ったペネロペ・クルスが演じるはずだった。しかし『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(11)のスケジュールと重なってしまい、泣く泣く降板。代わって、『スパイダーマン』シリーズ(02〜07)でアイドル的な人気を博していたキルスティン・ダンストが、ジャスティン役に抜擢される(彼女を推薦したのは、ポール・トーマス・アンダーソンだったという)。


 「彼(トリアー)が私にとても興味を持っていて、明日話をしたいと言われたの。スカイプをしたら、本当に気楽でいい雰囲気だったわ。脚本についてあまり話すことができないままスカイプの接続が切れてしまって、その後電話で連絡を取り合った。彼にとっては、監督として久しぶりの仕事だったようで、“ぜひ私の映画に出演してください”という、とてもシンプルなものだったわ」(*4)



 『メランコリア』(c)Photofest / Getty Images


 筆者は、このプロジェクトに彼女が参加したことに、どこか運命的なものを感じてしまう。実はキルスティン・ダンストもまた、うつ病に苦しんでいた。治療のためリハビリ施設に入所したこともあった。そう、『メランコリア』は、不安に苛まれ続けた孤独な二つの魂が、監督と主演俳優というかたちで寄り添い、一緒に協力し合うことで生まれたカタストロフなのである。


 トリアーは会場から追放されてしまったが、キルスティン・ダンストは体当たり演技で、みごとカンヌ国際映画祭女優賞を受賞。本作をきっかけにして、彼女は俳優としてネクスト・ステージへとステップ・アップする。


 この作品以降、二人のコラボレーションは実現していない。 『ハウス・ジャック・ビルト』(18)で、トリアーはキルスティン・ダンストに出演の打診をしたものの、彼女はこれを拒否。女性に対する陰惨な暴力が刻印されたこの映画に、出演をためらったのだろう。だが、二人の仲は決して険悪になった訳ではなく、誕生日にはメールを送る間柄なんだとか。トリアーとキルスティン・ダンストの誕生日は、同じ4月30日である。





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