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『マイ・ボディガード』主人公の壮絶な生き様、名匠の多彩な演出を通じてラブストーリーと復讐劇を両立させた傑作

(c)Photofest / Getty Images

『マイ・ボディガード』主人公の壮絶な生き様、名匠の多彩な演出を通じてラブストーリーと復讐劇を両立させた傑作

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偶然の再会がもたらした直感的なキャスティング



 『マイ・ボディガード』にはA・J・クィネルが1980年に著した原作がある。80年代、トニー・スコットの元にこの原作小説の映画化の話が舞い込んだとき、彼はかなり真剣に企画を検討したものの、どういうわけか話は立ち消えとなり(別監督によってスコット・グレン主演で映画化)、本作はまさに「幻の監督作」となった。その後に飛び込んできた『トップ・ガン』(86)のオファーを受けることで彼は一躍、大ブレイクを果たすことに。


 あれから20年後。同じプロデューサーから「やってみないか?」と再度オファーを受けたスコットはこのときばかりは「もちろんやる」と即答したという。


 それから数日後、スコットが古傷の針治療を受けようとクリニックを訪れていると、偶然にもデンゼル・ワシントンが治療に現れ、二人は『クリムゾン・タイド』以来、久々にじっくり話をしたそうだ。このときから、すでにスコットの頭の中には「デンゼルが主演したらどんな映画になるだろう?」という発想がうごめきはじめていたらしい。と同時に、相手役には天才子役として注目を集めていたダコタ・ファニングの名が浮かんだ。二人をキャスティングしたら奇妙なラブストーリーが生まれるのではないかと直感が働いたのである。


『マイ・ボディガード』予告


 DVD音声解説の言葉を借りると、トニー・スコットはキャスティングについて聞かれる際、いつも同じ「画家は何事も直感で判断する。そんな画家的な直感が最高の結果を生むんだ」という答えを返すという。


 この”画家”というのは、彼を理解する上でとても重要なポイントである。もともと画家志望で、やがてコマーシャル・フィルムの監督として名を挙げつつ、映画監督へとたどり着いた彼。それらはおそらく、別の職業、別の可能性といったものではなく、彼の中で”つながった道”と断言できる極めて一貫性のあるものなのだろう。





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