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サイモン&ガーファンクルの名曲から読み解く『さよなら、僕のマンハッタン』

サイモン&ガーファンクルの名曲から読み解く『さよなら、僕のマンハッタン』

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伝説のデュオに魅了された40代の監督たち



 2017年、アメリカではサイモン&ガーファンクルにちなんだ二本の映画が生まれた。一つは『 ベイビー・ドライバー』、もう一つは”The Only Living Boy in New York”という原題を持つ本作『さよなら、僕のマンハッタン』である。どちらも、輝かしい伝説を築いたデュオの名曲をタイトルに据え、なおかつ劇中でもその楽曲の調べが響き渡る。




 この偶然に『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督は、「二作はサイモン&ガーファンクル・シネマティック・ユニバースの一部なのさ」だなんてジョークを飛ばしたりもしていたのだとか。そんなエドガーの理論に従うなら、” The Sound of Silence”や” Mrs.Robinson”など彼らの代表作を散りばめたマイク・ニコルズの傑作『卒業』(67)もまた、それこそユニバースにおけるエピソード1的な位置付けと言えるのかもしれない。


 そういえば、『さよなら、僕のマンハッタン』を手がけたマーク・ウェブ監督の初監督作『 (500)日のサマー』では、サマーとトムが映画館で『卒業』を鑑賞するシーンが登場する。スクリーンに映し出されるのは映画のまさにクライマックス。主人公役のダスティン・ホフマンが花嫁をさらってバスの後部座席で最高の笑顔を見せ、次の瞬間には冷静な顔になって真正面を見つめるとても示唆的な場面だ。サマーはこのくだりで涙を流し、彼女の新たな一面を垣間見たトムは、どう声をかけていいのかわからない。そんな二人を優しく見守るように、バックにはこれまたサイモン&ガーファンクルの” Bookends Theme”という曲が流れている。ほら、ここでもユニバースは繋がった。




 言うまでもなく、彼らの名曲はとても映画的とも言える確固たる世界観を持ち、なおかつタイトルの響きそのものも映画のタイトルとして打ってつけだ。エドガー・ライトもマーク・ウェブも同じ1974年生まれ。決してリアルタイムで聴いた世代ではないのだが、それでもやはり、時代や流行が幾度も巡り巡るように、彼らの楽曲は一回りもふた回りもして、クリエイターの心に多大なインスピレーションを与えることとなったのだろう。


では、『さよなら、僕のマンハッタン』において”The Only Living Boy in New York”はどのような意味を持つのか。映画の核心に触れることは避けたいので詳しくは述べられないが、本作では、この楽曲よりもまず、物語の中頃で唐突に“このタイトルそのもの”と対面することとなる。そこだけを見ると、ニューヨークで人生をどのように切り開くべきか悶々と悩む主人公(カラム・ターナー)=“ニューヨークで一人ぼっちの少年”として観客には受け止められることだろう。だが、そこにあえて楽曲の製作背景や歌詞の意味を深く読み込んでみると、ちょっとした深みの変化が生じるのが面白いところだ。



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