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『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』に漂う毒気。「消費」された者たちの“その後” ※注!ネタバレ含みます。

(C)2022 Disney Enterprises. Inc.

『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』に漂う毒気。「消費」された者たちの“その後” ※注!ネタバレ含みます。

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チップとデールが「役者だった」という新解釈



 そもそも『チップとデール』とは、仲良しのシマリスのコンビが愉快な仲間と騒動を繰り広げるシリーズ。『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』もその系統と思いきや、根本から異なっている。本作のチップとデールは、役者。我々がこれまで観ていたアニメシリーズは、彼らが“演じていた”番組だったのだ。


 物語は、幼少期の彼らが学校で意気投合してコンビを結成し、芸能界に進んで冠番組を持つまでに成長していくさまをハイテンポで描いていく。だが、脇役扱いされていることにコンプレックスを感じたデールがチップに黙って新番組への単独出演を決めたことで、二匹の仲に亀裂が生じてしまう。袂を分かったチップとデールは、現在に至るまで絶交状態。デールは売れないタレント、チップは保険会社の優秀な社員として日々を送っていた。そんなある日、昔の仲間が窮地に陥り、チップとデールは再会を果たす。



『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』(C)2022 Disney Enterprises. Inc.


 「実は演技でした」パターンは、『トイ・ストーリー』シリーズのエンドロール映像や『モンスターズ・インク』(01)等にも通じ、メタ的な展開は『シュガーラッシュ オンライン』(18)や『魔法にかけられて』(07)等にも見られるもの。とはいえ、ディズニーという“本家”が歴史あるキャラクターにそういった解釈を提示するのは珍しい。


 「我々が知っているのとは別の平行宇宙の出来事です」というマルチバース的な処理もできるかもしれないが、独立した物語にせずこれまでの作品=番組だった、という設定にしている部分に、ある種の覚悟を感じずにはいられない。解散状態だったコンビが再結成する羽目になり絆を取り戻していくストーリー自体は王道といえるものの、あのチップとデールがそういった状態になっていた、というのはなかなかに驚きではないか。


 しかも本作、挑戦はここにとどまらない。ひとつは、ディズニー作品のキャラクターに加えて、それ以外のスタジオのキャラクターも大量に登場。しかも“ネタ”にしている部分がかなり強く、後述するが「海賊版」が物語の中心になっていく。そしてもうひとつは、ストーリー面とリンクした映像表現。端的に言うと、『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』は実写と3DCG、2Dアニメーション、それ以外がすべて混在した世界観になっているのだ。ここからの項目では、その二つに注目して紹介していく。




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