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『カラー・オブ・ハート』色彩テクニックが示唆するアメリカの分断(後編)

(c)Photofest / Getty Images

『カラー・オブ・ハート』色彩テクニックが示唆するアメリカの分断(後編)

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あらすじ⑥



 朝帰りをしたベティは、ジョージと口論になり家を出てしまう。バッドはマーガレットに傘をプレゼントするが、全町民集会への参加を呼びかけるホワイティ(彼はまだ白黒のまま)に冷やかされる。集会では町長が「町に今必要なのは、プレザント(愉快)とアンプレザント(不愉快)なものの区別と分離だ!」と呼びかける。


 その翌朝、ビルの店の窓一面には、ベティのヌードが鮮やかな色で描かれていた。白黒の住民はその行為に激怒し、店を徹底的に破壊する。モデルになったベティは不良たちに絡まれ、彼女を助けたバッドはついに色彩を取り戻した。だがカラーの人々への迫害は過激さを増し、さらには図書館の本が全て持ち出されて燃やされる。


 そして商工会から発表された新条例は、「恋人たちの水辺や、図書館への立ち入り禁止」「聴いて良い音楽は、ジョニー・マティス、ペリー・コモ、ジャック・ジョーンズ、スーザの行進曲、アメリカ国歌のみ」「雨具の販売禁止」「幅96cmを超えるベッドの販売禁止」「使用できる色は白・黒・グレーのみ」「学校では、歴史は不変で継続し続けるものと教える」などというものだった。


 カラーの人々は、迫害を恐れてビルの店へ身を潜めていた。だがバッドは諦めない。彼はビルの手を借り、一晩かけて警察署の壁にプレザントヴィルの現状を、鮮やかな色彩を用いて描いた。バッドとビルは拘留され、前代未聞の裁判が執り行われることになった。裁判官は町長で、弁護人はなし、陪審員はすべて白黒の住民だった。


 ビルは「悪気はなかった」と言い訳するも、「私に技術があれば、もっと良い絵が描ける気がするから、もう少し使える色を増やして欲しい」と、とぼけてみせる。一方バッドは、「人々は誰にも多様な面があり、それを認め合うことが重要だ」と力説。そして、ジョージに対し優しく言葉をかけ、妻への本心を認めさせることで彼をカラーにした。そして、それに感動した住民たちも一斉に色付いていく。バッドは更に町長を説得し、彼の本心を引き出してカラーにしてしまう。すると、プレザントヴィル全体に色が付き、町の外まで世界が拡がっていった。


 その後、勉学の楽しさを覚えたメアリー・スーは、プレザントヴィルに残ることを決意し、この世界の大学への進学を選ぶ。バッドはマーガレットやベティと別れ、現実世界のデイビッドへ戻ることにした。自宅には、9歳年下の恋人と旅行に行ったはずの実の母親が、帰宅して泣いていた。彼女は、余計に自分の年齢を意識してしまい、耐えられなかったという。デイビッドは「人それぞれだよ」と言って、彼女の涙を拭う。彼は確実に人として成長していた。




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