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『カラー・オブ・ハート』色彩テクニックが示唆するアメリカの分断(後編)

(c)Photofest / Getty Images

『カラー・オブ・ハート』色彩テクニックが示唆するアメリカの分断(後編)

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『カラー・オブ・ハート』あらすじ

高校生のデイヴィッドは、1950年代のホームコメディ「プレザントヴィル」の大ファン。ある日、奇妙なTV修理工がやってきて、渡された不思議なリモコンのボタンを押すと、彼は双子の妹・ジェニファーと一緒にドラマの世界に入り込んでしまう。そして、彼らが持ち込んだ価値観や行動が、平和な“プレザントヴィル”の世界に変化をもたらしていく。



 二卵性双生児の高校生兄妹が、50年代の白黒テレビドラマ「プレザントヴィル」の世界に迷い込んでしまうファンタジー。後編となる今回は、白黒とカラーの人物を混在させるテクノロジーや、映画の背後に隠された社会的テーマについて述べる。


前編はこちら


Index


あらすじ④



 バッド(トビー・マグワイア)が、バイト先のソーダショップに出勤してくると、店内は同級生たちであふれかえっていた。皆、どうして彼が火の消し方を知っていたかを、疑問に思っていたのだ。仕方なくバッドは、自分が町の外から来たことを明かす。


 すると、ミシシッピー川について尋ねてきた者がいた。彼が川を知っていた理由は、「ハックルベリー・フィンの冒険」を読んだからだという。それはメアリー・スー(リース・ウィザースプーン)が、途中まで知っていたストーリーを話したことで、白紙だった本の中に文字が出現したためだった。ためしにバッドが続きを話すと、文章やカラーの挿絵が浮かび出す。このことをきっかけとして、次々と中身のある本が出現し、図書館の前には若者たちの長い行列ができた。


 するとこの状況を、町長(J・T・ウォルシュ)を中心とした商工会のメンバーが危険視し始める。町長はジョージ(ウィリアム・H・メイシー)の家を訪問し、商工会への入会と町の正常化への協力を要請する。話が決まったことで、町長はカナッペのもてなしを要求するが、妻のベティ(ジョアン・アレン)が出てこない。バッドが呼びに行くと、彼女はキッチンの奥で泣いていた。カラーになっていたのである。バッドは応急処置として、グレーの化粧でごまかした。


 またバッドは、バイト先のビル(ジェフ・ダニエルズ)を元気づけるため、図書館で借りてきた画集を見せる。バッドは彼に絵を描く才能があると感じていたのだ。その画集には、マサッチオ「楽園追放」、レンブラント「自画像」、ティツィアーノ「ウルビーノのヴィーナス」、ターナー「雨、蒸気、速度 グレート・ウェスタン鉄道」、モネ「睡蓮」、ゴッホ「星月夜」、カンディンスキー「ジグザグ」、セザンヌ「リンゴとオレンジのある静物画」、マティス「赤のハーモニー」などが掲載されており、ビルは感動したものの、「とても自分には描けない」と逆に落ち込んでしまった。




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