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『ロックンロール・ハイスクール』3分間のポップミュージックがくれる魔法

© 1979 New World Productions Inc. All Rights Reserved.

『ロックンロール・ハイスクール』3分間のポップミュージックがくれる魔法

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『ロックンロール・ハイスクール』あらすじ

ヴィンス・ロンバルディ高校のロック全面禁止女校長、ミス・トーガーは校内のダメ男2人を手下に、ロック系レコードを燃やして生徒を取り締まる巨漢。ロック大好きリフ・ランデルは執拗な妨害にもめげず、音楽の課題でRAMONESのために「ロックンロール・ハイスクール」を作詞、ライヴ会場でプレゼントすることに成功する。曲を受け取ったジョーイ・ラモーンは大喜び。世界初のパンク・ロックRAMONESはリフのため、ミス・トーガーをやっつけるべく高校へ乗り込んでいく…。


Index


ジョーイを校長に!



 「ラモーンズはチェーンソーを背負ったザ・ビーチ・ボーイズみたいだ」(アラン・アーカッシュ)*1


 ラモーンズをこよなく愛する郊外に住む少女が、学校をサボり、支配的な校長を激怒させ、高校の校舎を爆破する。爆破される校舎をバックに狂ったように踊る生徒たち!ラモーンズによって生演奏される「ロックンロール・ハイスクール」!アラン・アーカッシュが手掛けた『ロックンロール・ハイスクール』(79)は、3分間のポップミュージックの魔法を信じるかのように、爆発的なスピードで青春を駆け抜けていく。ラモーンズの演奏に合わせてクラップを入れながら踊り狂う生徒たちによる歓喜の熱量が観客に伝染していく。


 楽しくて楽しくて多幸感のあまり思わず涙が出そうになる映画。高揚感のあまり思わずハイタッチをして喜びを分かち合いたくなる映画。『ロックンロール・ハイスクール』は、ポップミュージックの放つ興奮の熱量とパンクミュージックの放つ破壊の熱量をダイレクトに伝えることに成功した稀少な映画だ。その中心にP・J・ソールズ演じるリフ・ランデルという決定的な反抗のヒロインがいる。



『ロックンロール・ハイスクール』© 1979 New World Productions Inc. All Rights Reserved.


 映画はリフ・ランデルによる「ロックンロール・ハイスクールのはじまりよ」というアナウンスで最初の爆発を迎える。授業で使うレコードプレイヤーを無断で持ち出して、校内の放送網をジャックするリフ・ランデル。ラモーンズの「シーナ・イズ・ア・パンクロッカー」が爆音で校内に流れると、授業を受けていたはずの生徒たちが教室や廊下で狂騒的に踊りはじめる。パンクミュージックによる暴動。”パンク、パンク、パンクロッカー”という奇跡のフレーズ。ポップミュージックでしか成し得ないこの語感、意味から解き放たれたこの響きこそが私たちを夢中にさせる。そう確信させるだけの反抗の熱量、歓喜の熱量がこのシーンにはある。


 少女が夢中になるバンドのキャスティングには、チープ・トリックやヴァン・ヘイレン等も候補に挙がっていたというが、ラモーンズ以外のバンドでこの奇跡が起こることはもはや想像できない。暴動的でありながら祝祭的ともいえる歓喜の光景を目の当たりにした私たちは「ジョーイ(・ラモーン)を校長に!」という生徒の叫びに爆笑しながら、そうだ!そうだ!と激しく賛同のガッツポーズをとりたくなってしまう。そしてアラン・アーカッシュがラモーンズを形容した言葉に倣うかのように、リフ・ランデルはチェーンソーを手に取り、校長室をズタズタに破壊していく…。なんという衝動!なんという破壊!ジョーイを校長に!





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