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『コン・エアー』カオスな囚人輸送機アクションは何故愛すべき快作に仕上がったのか

(c)Photofest / Getty Images

『コン・エアー』カオスな囚人輸送機アクションは何故愛すべき快作に仕上がったのか

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『コン・エアー』あらすじ

軍を除隊したキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は、酒場で酔っぱらいともめ、さらに追ってきた相手を殺害してしまう。正当防衛が認められず、殺人罪で刑務所に服役し、模範囚として仮釈放を手に入れる。ポーの故郷アラバマまで移送する《コン・エアー》に乗り込むと、そこにはサイラス・グリサム(ジョン・マルコヴィッチ)を始めとする凶悪犯たちが顔を連ねていた…。


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荒唐無稽な空飛ぶアクション大作



 97年に公開されたこの映画は、良い意味でネジがぶっ飛んでいて荒唐無稽で無茶苦茶だ。もしかすると映画の大部分を「ドカーン、ズバーン」という擬音で表現し尽くすことだって可能かもしれないーーと、こんな何も考えずに書いたような私の表現があながち間違いとは言えないのは、もともとスコット・ローゼンバーグが執筆したごくシンプルな脚本をベースに、製作が進むにつれチームが一丸となって、どんどん馬鹿馬鹿しいほどのアクション描写をまぶしながらスケールを巨大化させていった、という経緯があるからだ。


 そもそもの企画の発端は、映画会社の首脳部が発案した一つのアイデア。ロサンゼルス・タイムズに掲載された「囚人輸送用の航空機に関する記事」をベースにしてアクション映画が作れないか?という打診から始まった。脚本家として気鋭のローゼンバーグ(『デンバーに死す時』/95、『60セカンズ』/00、新生『ジュマンジ』シリーズ)が呼ばれた際に出された要望は一つ。「空飛ぶ『ダイ・ハード』にはしないように」(*1)というものだったとか。その後、ジェリー・ブラッカイマーが製作を担うことが決まると、本作を灼熱のブロックバスター映画へ進化させるべく、彼らしい「もっとビッグなものに!」(*2)という要求が加わった。


『コン・エアー』予告


 監督として抜擢されたミュージックビデオ出身のサイモン・ウェストは、これに素直に応じる形で「一つのセリフから5ページ分の描写が生まれるようなアクション」を考えだし、ローゼンバーグがそれを脚本に落とし込む。こういうやりとりの末に、望んでいた通りの胃もたれするほど過剰なアクションの詰まった分厚く濃厚な一冊が完成した。


 ちなみに脚本に関してもう一言、付け加えておくと、本作でセリフに磨きをかけていく段階で、J・J・エイブラムスもこれに参加したという。もしも本作の鑑賞中に、思わずニヤッとしてしまうような気の利いた粋なセリフが聞こえてきたなら、それはエイブラムスが手掛けたものかもしれない。




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