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『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』ウェス・アンダーソンの創造性が生んだフィクショナルな家族の肖像

(c)Photofest / Getty Images

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』ウェス・アンダーソンの創造性が生んだフィクショナルな家族の肖像

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『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』あらすじ

テネンバウム家の3人の子供たちは、長男は投機の天才のビジネスマンとして、長女は作家として、次男はテニス選手として10代のうちに成功し、天才児と呼ばれていた。しかしそれから20年後、彼等はそれぞれ問題を抱え、テネンバウム家の絆は今や崩壊寸前。そんな時、別居していた父が戻ってきて……。


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“オールスターキャスト”に踏み出した一作



 短編"Bottle Rocket"(92)での監督デビュー以来、30年以上に渡って、唯一無二の創作世界を築き続けるウェス・アンダーソン監督。そのユニークな題材や構成、スタイルは一作ごとにガラリと様相を変えるものの、根底にはどこかよく似た通奏低音が感じ取れる。とりわけ長編3作目の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(01)は、アンダーソン作品でお馴染みの”家族”というモチーフを用い、さらに彼の作品の最大の特徴"オールスターキャスト"に初めて踏み出したことで有名だ。


 企画の発端は、盟友のオーウェン・ウィルソン(本作の出演のみならず、共同脚本も手掛ける)がアンダーソンに「きみたち兄弟が経験した”両親の離婚”をテーマにしてみては?」と提案したこと。なるほど、ウィキペディア情報をさらってみると、確かに彼は3人兄弟で、少年時代に両親が離婚している。


『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』予告


 このアイデアを活かして構想がスタートするのだが、でもそこは他ならぬウェス・アンダーソンのこと、センシティヴな記憶をそのまま自伝的に投影したりはしない。着想は彼にとって単なる入り口に過ぎず、そこからは堰を切ったようかのようにフィクショナルな「家族の肖像」が広がりを見せていく。




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