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『ブレイブハート』史実よりも映画的な面白さに力を注いだ、大興奮の歴史スペクタクル ※注!ネタバレ含みます

(c)Photofest / Getty Images

『ブレイブハート』史実よりも映画的な面白さに力を注いだ、大興奮の歴史スペクタクル ※注!ネタバレ含みます

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見事な戦闘シーン。でも”橋”がない⁉︎



 本作の大きな見せ場といえば、とてつもない数のエキストラを擁した戦闘シーンであることは間違いない。とりわけスコットランド軍が英国軍を撃退する「スターリングの戦い」はまさに一級品で、あの手この手で観客を興奮のるつぼへと突き落とす演出手腕は見事なものだ。


 これらの舞台裏を紐解くと興味深いことがわかってくる。そもそもロケ地はスコットランドでなく、アイルランドだったとか。そして登場するイングランド軍とスコットランド軍の兵士たちは、どちらもアイルランド陸軍の現役兵士たちが衣装を着替えた上で演じ分けているという。なるほど、これなら本来だと両軍合わせて数千人必要なところを、半分の数で賄うことができる。今でこそCGで群集を増やすことが当たり前となっているが、当時はこうして人海戦術にて推し進めることが当たり前だった。


 一方、この戦闘シーンで気をつけておきたいのは、「スターリングの戦い」が一般的に「スターリング・ブリッジの戦い」とも呼ばれるところ。ならばその象徴というべきブリッジはどこに?と、どれだけ目を皿のようにして探しても川や橋はいっさい見当たらない。そこにはだだっ広い平原あるのみ。これは、よりダイナミックな戦闘場面を描きたい作り手たちの「橋はやめよう」との判断によるものだったとか。(*)



『ブレイブハート』(c)Photofest / Getty Images


 本来であれば史実を基にして「橋ありき」で構想を膨らませていくのが順当だが、メル・ギブソンの場合、恐らく先に描きたい強固なビジョンがあって、それを最優先する形でストーリーが後付けで動いていくのだろう。歴史に忠実かどうかはもはや問題ではない。観客をいかに熱狂の渦に巻き込んでいくかに主眼を置く。それが本作のあり方のようだ。


 ちなみに、この場面では、突進する騎馬兵の背後に小さく白い車両が映り込んでいるのが確認できる(1:27:25あたり)。かなり動体視力がよくなければ見逃してしまいそうなレベルではあるが、気になった方はぜひチェックしてみてほしい。ただし、これらのミスがあるからといって本作の質が貶められる訳ではないことを強調しておきたい。


https://www.usatoday.com/story/entertainment/movies/2020/05/12/braveheart-25th-anniversary-mel-gibson-recalls-epic-william-wallace-film/3009978001/





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