『オペレーション・フォーチュン』強烈な作家性から次のステージへ。ガイ・リッチーの生存戦略

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2023.10.13小野寺系

『オペレーション・フォーチュン』あらすじ

英国諜報局MI6御用達の敏腕エージェント、オーソン・フォーチュンに下された新たなミッション。それは100億ドルで闇取引されるとてつもなくヤバいブツ＝"ハンドル"を追跡・回収すること。フォーチュンはMI6のコーディネーター・ネイサンや、クセ強の天才ハッカー・サラ、新米スナイパーのJJという即席チームを率いて行動を開始する。能天気ハリウッドスターのダニーを無理矢理任務に巻き込み、武器商人グレッグに大胆不敵に接近。次第に明らかになっていく巨大な陰謀を、フォーチュンたちは阻止できるのか？そして、"ハンドル"の正体とは！？

Index

ガイ・リッチー版『スパイ大作戦』

　『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』（98）など、複雑に入り組んだプロットと刺激的な編集による犯罪映画で注目を浴びて以後、イギリス、アメリカ両国で超大作を含めた個性的なアクション作品を数多く手がけてきている、ガイ・リッチー監督。そんな彼が、TVシリーズを映画リメイクした傑作『コードネーム U.N.C.L.E.』（15）以来となる、スパイミッションを描く映画を送り出した。それがジェイソン・ステイサム主演の『オペレーション・フォーチュン』（23）である。

　ガイ・リッチー自身の脚本によるオリジナル作品となる『オペレーション・フォーチュン』の設定は、スパイ単独の活躍を描く『007』というよりは、基本的にチームでミッションに挑む『ミッション：インポッシブル』（『スパイ大作戦』）シリーズに近いといえる。

　MI6（イギリスの諜報機関）のネイサン（ケイリー・エルウィズ）のコーディネートによって、ステイサム演じる腕っ節の強いエージェント、オーソン・フォーチュンはじめ、毒舌で奇行の目立つ天才ハッカーのサラ（オーブリー・プラザ）、新米スナイパーのJJ（バグジー・マローン）がチームとして集められ、ウクライナから盗み出された、世界を揺るがすという最高機密「ハンドル」をめぐり、マドリードやモロッコ、トルコやドーハなどを飛び回る。

　悪名高い武器商人グレッグ（ヒュー・グラント）が「ハンドル」の仲介をするという情報を掴んだフォーチュンたちは、グレッグが“ミーハー”だという点に目をつける。そこでハリウッドスターの俳優ダニー（ジョシュ・ハートネット）の弱みを握り、カンヌで開かれるグレッグの船上パーティーに参加させることで接近を試みるのだった。このような豪華キャストが集まっているのは、彼らを過去作に出演させているガイ・リッチー監督ならではというところだ。

ジェイソン・ステイサムの正しい使い方

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