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『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』脚本変更でよりスコセッシ映画へ、ディカプリオとデ・二―ロ、グラッドストーンが体現する葛藤と贖罪

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『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』脚本変更でよりスコセッシ映画へ、ディカプリオとデ・二―ロ、グラッドストーンが体現する葛藤と贖罪

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原作と映画版の違い~歴史か、キャラクター研究か



 今回の映画化の話が持ち込まれた時、映画好きでもある原作者グランは驚いたという。


 「脚本家のエリック・ロスが脚本を書き、やがてマーティン・スコセッシが参加することになった。しかも、主演がレオナルド・ディカプリオ。現代最高の監督が参加することに驚いた。一方、1920年代に実際に起きた事件なので、オセージ族の反応が心配だった。歴史上、特に衝撃的で、残忍な事件に思えたからだ。ただ、スコセッシとチームの様子を見ていて、不安は消えていった。オセージ族が44の役で参加し、コスチュームやセットのスタッフ、言語指導などでも協力し、いいチームワークが組まれていた」


 グランは<AOL.com>のインタビューでそう振り返る。彼は製作者チームの真摯な態度に感銘を受け、自身も資料の提供者として付き添ったという。


 「映画と本はまったく違うメディアだと思う。私の本はあくまでも歴史書で、すべての文章が事実や資料に忠実に組み立てられている。映画はモリーやアーネストの人物像に焦点が当てられ、それが犯罪の中心に置かれている。本はもっと広いキャンバスで描かれるが、映画はキャラクター研究となっている。それぞれのメディアの特長を生かし、その真実に迫ろうとしている」



『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』画像提供 Apple


 本ではオセージ族の歴史や風習が詳細に語られ、モリーの少女時代の話も出てくる。一方、ディカプリオが演じる彼女の夫アーネストは登場が少なく、事件にとって重要な人物でありながらも、脇役的な人物でしかない。本では中盤以降、捜査官ホワイトの比重が大きく、途中からはアーネストの叔父ヘイルとホワイトの対決ともいえる展開になっていく。ホワイトの物語と共にFBIの基礎を作った彼の上司、フーヴァーも登場。そして、本ではホワイトのヘイル裁判後の後日談も描かれる。


 映画化の話が出た時、最初はヘイルをデ・ニーロが、ホワイトをディカプリオが演じる予定だったという。原作に忠実な映画化と考えると、確かにその方が自然な流れとなっている。本のおもしろさは、ローン・レンジャー出身のホワイトが独自のやり方で真相を暴いていく点にあり、「アメリカ探偵クラブ賞受賞作品」であることもうなずけるミステリー風の展開になっているからだ。


 しかし、スコセッシは途中でシナリオの構成を変更することになる。





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