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『ベスト・フレンズ・ウェディング』ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアス、90&00年代を代表するラブコメ女王の対決

(c)Photofest / Getty Images

『ベスト・フレンズ・ウェディング』ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアス、90&00年代を代表するラブコメ女王の対決

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ラブコメにおける主人公の親友=助言者



 実はこの映画の結末には、ある裏話がある。映画の最初のバージョンが完成し関係者による試写を行なったところ、思わぬ反響が起き、慌てた製作陣の提案で別のエンディングを撮り直し、現行の作品となったのだ。当初のバージョンでは、ジュリアンが愛し合う恋人たちの結婚式の妨害を散々企てたあと、最後には自分も新しい恋愛のチャンスを掴むハッピーエンドが予定されていた。しかし、試写を見ていた人々はみな、ジュリアンがあまりに身勝手な妨害を企てるのを見るうち、彼女に共感を抱けなくなり、最後に幸せを掴むことに抵抗を感じてしまったのだ。


 仕方なく、P・J・ホーガン監督と脚本家のロナルド・バスは、編集を少し手直しし、エンディングは新たに撮り直すことに。バッドエンドではないが、単純なハッピーエンドとは違うラストに変えたことで、ジュリアンが自分のしたことの重大さをしっかりと反省し、人生を見つめ直すニュアンスが加わった。



『ベスト・フレンズ・ウェディング』(c)Photofest / Getty Images


 ラストシーンに加え、新たな編集バージョンで大きな役割を果たすことになるのが、ジュリアンのもうひとりの親友で、ゲイのジョージ(ルパート・エヴェレット)だ。いつも彼女の相談に乗ってあげているジョージは、彼女にせがまれシカゴまでやってきたあげく、あろうことかジュリアンの婚約者の振りをする羽目になる。彼女のはちゃめちゃな振る舞いに呆れたジョージは、「まずは自分の気持ちを素直に打ち明けるべきだ」とまっとうな意見を述べる良識人だが、一方で悪ノリする一面もある。マイケルやキムを相手に嘘の恋愛事情をペラペラ話し、キムの家族が揃ったランチの場では、なんとミュージカル仕立てで自分たちの運命の出会いを語りきかせる始末。


 ラブコメ映画の定番ともいえる主人公の親友=助言者としてのジョージの姿は、この映画に大きな光を与えている。ジョージの前でジュリアンが本音を吐き出し、弱気な姿を見せることによって、その身勝手さに反感を抱きそうになった観客たちは、一見強気な彼女もまた自分に自信を持てずにいる女性なのだと知ることができる。何より、理性的でありながらユーモアに溢れたジョージの魅力に、誰もがうっとりとしてしまう。演じたルパート・エヴェレットは、本作で数々の映画賞を受賞した。本人は、1980年代から俳優として活動したが、1989年にゲイであるとカミングアウトしたことがキャリアに少なからず傷をつけたと語っているが、本作への出演によって、オープンリーゲイの俳優として大きな成功をおさめることになった。





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