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『ベスト・フレンズ・ウェディング』ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアス、90&00年代を代表するラブコメ女王の対決

(c)Photofest / Getty Images

『ベスト・フレンズ・ウェディング』ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアス、90&00年代を代表するラブコメ女王の対決

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エンディングの変更がもたらした奇跡



 今の視点でこの映画を見ると、いろいろと気になる箇所がないわけではない。たとえばキムとマイケルの結婚生活。ジュリアンの妨害がひど過ぎて思わずふたりを応援したくはなるものの、果たして彼らの結婚生活が幸せなものになるのかは怪しいところだ。せっかく優秀な成績を収めていたのに、年上の男性との結婚のために大学を辞めるという20歳のキムの選択には、思わず「本当にそれでいいの?」と問いただしたくなる。もちろんキム自身がそれを望んでいるなら何も問題はないが、実際には彼女自身、本当はシカゴで勉強を続け建築家になりたい、と考えていることが明らかにされるのだ。それなのに、「仕事よりも彼との愛が大事だから」と健気に言うキムと、その言葉に感動し「彼女こそ運命の人だ」と確信するマイケルの結婚生活は、果たして10年後、20年後も安泰なのだろうか?



『ベスト・フレンズ・ウェディング』(c)Photofest / Getty Images


 そうしたつっこみたい箇所はいろいろあるものの、ふたりの魅力的な女性たちの姿を通して、愛しあう者たちの滑稽さと美しさをたっぷりと見せてくれる本作は、やはり最良のラブコメ映画の一本だ。何より、この映画は時間のもつ残酷さを教えてくれる。ジュリアンがマイケルを失ったのは、キムという若く魅力的な女性が現れたからではない。プライドに縛られ、自分の気持ちを正直に伝えられなかったから、彼女は愛する人を失ってしまったのだ。キムが言うように、本当に望むものは、思った瞬間に口にしなければ手に入らない。迷っていたら、時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。


 製作陣の意向で急遽変更となったラストシーンは、当時のラブコメ映画には珍しい、現代的なテーマを私たちに投げかけてくれる。本当にあなたを幸せにしてくれるのは、恋愛の相手だけとは限らない。恋愛や結婚、セックスとは違う、深い友情があなたを一番幸せにしてくれるかもしれない。そう呼びかける『ベスト・フレンズ・ウェディング』は、公開から四半世紀経った今も、古びることなく、私たちを魅了するだろう。



文:月永理絵

映画ライター、編集者。雑誌『映画横丁』編集人。『朝日新聞』『メトロポリターナ』『週刊文春』『i-D JAPAN』等で映画評やコラム、取材記事を執筆。〈映画酒場編集室〉名義で書籍、映画パンフレットの編集も手がける。WEB番組「活弁シネマ倶楽部」でMCを担当中。 eigasakaba.net



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