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『ベスト・フレンズ・ウェディング』ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアス、90&00年代を代表するラブコメ女王の対決

(c)Photofest / Getty Images

『ベスト・フレンズ・ウェディング』ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアス、90&00年代を代表するラブコメ女王の対決

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数々の名曲を見事に使いこなした音楽映画



 ジョージがランチの場で突然歌い出す場面は、映画史に残る名ミュージカルシーンだ。「僕と彼女と初めて出会ったのは精神科病棟だった」と話し始め、自分をディオンヌ・ワーウィックだと信じる入院患者の話へと発展するジョージに、ジュリアンを除き、その場にいた全員が夢中で聞き入ってしまう。やがて、ジュリアンに一目惚れしたくだりを話していたジョージは、「僕はディオンヌ(と名乗る女性)に聞いたんだ。あそこにいる彼女は、僕の愛に応えてくれるだろうかと。するとディオンヌは……」と言葉を止める。しばしの沈黙に「それで?」と思わず続きを促した次の瞬間、彼の口からは歌の一節が流れ出す。


 歌うのはディオンヌ・ワーウィックが歌い有名になった「I Say a Little Prayer(小さな願い)」。ジョージの素晴らしい歌声に誰もが魅了され、やがてテーブルにいる人々が一人また一人と歌いだす。手拍子が生まれ、最後にはレストランにいる全員の合唱へと発展する。ミュージカルとはこんなふうに撮るのだ、という見本のような場面だ。


「I Say a Little Prayer」シーン動画


 他にも、冒頭の「Wishin' and Hopin'」からキムがカラオケで歌う「I Just Don't Know What To Do With Myself」まで、本作には、往年の名曲が見事に使用されている。なかでも忘れられないのは、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが共演した『有頂天時代』(36)で印象的に使われた「The Way You Look Tonight」。


 ジョージとの婚約は嘘だった、と告白した後、ジュリアンはマイケルとふたりだけで川での観光船ツアーに参加する。ジョージとの婚約話に嫉妬を感じずにいられなかったと告白したマイケルは、実はキムとの結婚に不安も感じているんだと告白する。やがて船が橋の下に近づくと、降り注いでいた陽光が遮られ、ふたりの顔が影の中へと隠れてしまう。暗闇の力を借りてジュリアンが口を開こうとしたそのとき、船は橋の下を抜け、真っ白な光が降り注ぐ。ハッとするほど美しい光のなかで、彼女は再び口を閉ざしてしまう。「キムは言うんだ。愛していると思ったらすぐに言えって。迷っていたら、時間はあっという間に過ぎ去るから」。マイケルがキムに言われた言葉が、この一瞬の光の移動と重なり合う。


 出会いから結婚までが早すぎて、僕らには思い出の曲すらない、というマイケルは、ジュリアンとの思い出の曲「The Way You Look Tonight」を口ずさむ。そうして船の上で、ふたりはダンスをする。この美しい曲は、映画のラストで、再び名場面をつくることになる。





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