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『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』現在の世界と心境の変化 ※注!ネタバレ含みます

©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』現在の世界と心境の変化 ※注!ネタバレ含みます

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『ドラえもん』『AKIRA』への接近



 原作漫画同様、本作『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』でも描かれる圧倒的な“破壊”は、原爆のきのこ雲に象徴される、第二次大戦時の各都市への空襲によって徹底的に破壊されていく日本の姿にも重ねられる。日本人にとっての“終わり”のイメージはやはり、なす術のない暴力的な大爆発の記憶に結びついている。


 この破壊のイメージそのものをスペクタクルとして表現し、社会の暴走による新たな戦後の姿を描いたのは、大友克洋の手による漫画、劇場アニメ作品『AKIRA』(88)だった。そういう方向から考えれば、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』は、浅野いにお版の『AKIRA』だととらえることもできる。



『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee


 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』の原作漫画では、さらにそこに「イソベやん」という劇中の漫画作品として暗示された、国民的漫画『ドラえもん』の影も示唆される。作品そのものが、『ドラえもん』の「現代解釈版」だというのである。現代社会に未来的な「ひみつ道具」が存在すれば、陰惨な結果を迎えることもあるだろう。


 『ドラえもん』や『AKIRA』といった、漫画界の強力なタイトルへの、独自路線での接近は、おそらくは浅野いにおの漫画表現の挑戦であり、そこで現代社会を映し出そうという意気込みの反映だと考えられる。であれば、そこで描かれる展開や結末は、必然的にメッセージ性を帯びたものとなる。そこで注目したいのは、やはり原作漫画とは異なる展開を見せる、本作の後半のストーリーということになってくるはずだ。


 原作と比較して最も異なる点は、意外な“ある人物”の活躍が無くなっているというところである。ここが原作のストーリー上の“大仕掛け”であり、前半から用意された伏線の回収でもあったことを考えると、映画版のストーリー展開は、かなり淡白な印象を持たせるものとなっている。




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