1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ジュラシック・パーク
  4. 『ジュラシック・パーク』が一新させた恐竜描写と、驚異のCG革命を振り返る
『ジュラシック・パーク』が一新させた恐竜描写と、驚異のCG革命を振り返る

『ジュラシック・パーク』が一新させた恐竜描写と、驚異のCG革命を振り返る


スピルバーグにもたらされた進化



 そして『ジュラシック・パーク』は、恐竜描写に対して新しい方向性を示しただけでなく、監督であるスティーブン・スピルバーグ自身に進化をもたらしている。


 スピルバーグは1975年の 『ジョーズ』から最近作である 『レディ・プレイヤー1』(18)まで絶え間なくヒット作を送り出し、安定した映画監督人生を歩んできたように思われがちだ。しかし『ジュラシック・パーク』の誕生を待つ90年代前後は、いわばキャリアの混迷期にあったのだ。 『カラー・パープル』(85)や 『太陽の帝国』(87)といった社会性の強い作品と『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(89)といった娯楽作との試行錯誤を繰り返し、かつての飛ぶ鳥を落とすような勢いはスローぎみになった。そして1991年のファンタジー大作 『フック』で、若くして才能の枯渇を疑われるような、つまづきを見せてしまう。



 スピルバーグ作品のパブリックイメージとしてあった「児童性」を体現するピーターパンの二次創作『フック』は、膨大な予算と豪華スター俳優の総出演、ならびに巨大なスタジオセットが与えられた豪華なイベントムービーだった。ところが当初の製作費5,000万ドルを3,000万ドル近くも上回り、40日間も撮影日数を超過するという、早撮りを信条とするスピルバーグにしてはコストパフォーマンスの悪さを露呈している。完成した作品はヒットこそしたものの評論家のレビューはふるわず、たとえば著名なリチャード・シッケルは「豪華だが、誤算だらけの奇作」と叩き、「ニューズウィーク」誌はこうまで酷評した。「粉砂糖をかけすぎたパーティ用のケーキだ」と。


 『ジュラシック・パーク』は、こうした『フック』での不評を一蹴するかのように全世界に驚きを与え、作品は空前の大ヒットを記録。スピルバーグを再びハリウッドのトップディレクターへと返り咲かせた。そして本作は世界興収で約10億ドルものグロス(総計)を上げ、これは現在もスピルバーグ監督作品史上No.1の座をキープしている。さらにはこの映画と同時進行で製作していた 『シンドラーのリスト』(93)で米アカデミー賞最優秀作品賞ほか監督賞などを受賞し、名実ともに一流の映画作家となったのだ。



(C)1993 Universal Studios and Amblin Entertainmant,Inc. All Rights Reserved 


 なにより出世作である『ジョーズ』や『未知との遭遇』(77)を彷彿とさせるスリリングな恐怖演出に、スピルバーグの復活を実感した映画ファンは多かったのだ(この恐怖演出については次回のチャプターで詳述する予定)。




PAGES

この記事をシェア

公式SNSをフォロー

新着うんちく

NEWS / 特集

人気うんちく

上映中のおすすめ作品

  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ジュラシック・パーク
  4. 『ジュラシック・パーク』が一新させた恐竜描写と、驚異のCG革命を振り返る