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『ジュラシック・パーク』が一新させた恐竜描写と、驚異のCG革命を振り返る

『ジュラシック・パーク』が一新させた恐竜描写と、驚異のCG革命を振り返る


デジタル・キャラクターの飛躍的な確立



 そんな生物感あふれる恐竜像を実現へと至らせたのが、現行よりもさらに一歩進んだ視覚効果だ。ことに最新テクノロジーを駆使した「CG恐竜」の登場は、映画におけるクリーチャーの表現にフォトリアルな容姿や生態描写をもたらし、また今の主流であるデジタルメイキングへとつながる轍を築いたといっていい。


 もっとも『ジュラシック・パーク』はデジタル革命を目的に製作されたのではなく、あくまでリアリティにこだわり、実物大スケールの「アニマトロニクス」(液圧式のメカニカル駆動による恐竜模型)や「ゴーモーション」など物質をベースとする撮影プランが練られていたのだ。ちなみにゴーモーションとは、ミニチュアモデルにロッド(支持棒)を取り付け、それをモーション・コントロール・システムで動かして、モーションブラー(動きのぶれ)を発現させる特撮テクニックのこと。モデルをストップモーション特有のカクカクした動きではなく、現実にいる生物のようにスムーズ、かつ迫真的に見せることができる。実際にこの技法を用いて創造されたのは『ドラゴンスレイヤー』(81)の翼竜ヴァーミスラックスや 『E.T.』(82)の自転車に乗る少年たちの飛行シーン、『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』(86)の怪物ダーク・オーバーロードや『ウィロー』(88)に登場する双頭のクリーチャーなどが挙げられる。個人的にはアナログからデジタルへの過度期のテクニックだと言い捨てるには惜しく、機会があればぜひこれらをご覧いただきたい。



 しかし、これまでゴーモーションは(『E.T.』を除くと)単体のクリーチャーモデルを動かすのに用いられており、数多くの恐竜を動かすには時間も手間も費用も莫大にかかる。こうした問題を解決する一助として、CGの導入が検討されたのである。 


 しかし、当時は『アビス』(89)のエイリアンが操る水の触手や『ターミネーター2』(91)の可変自在なメタリックボディを持つサイボーグT-1000など、無機的なCGキャラクターの創造が同手法の限界だった。そこで視覚効果スーパーバイザーとして『ジュラシック・パーク』に参加していたILMのデニス・ミューレンは、デモ用に歩行するティラノサウルスや群れをなして走るガリミムスなどのCG恐竜を試作。それを見てクオリティの高さに確信を抱いたスピルバーグが、ゴーモーションをCGワークへと置き換えることを決断し、動物的な皮膚感をともなうCGキャラクターの誕生をうながしたのだ。



(C)1993 Universal Studios and Amblin Entertainmant,Inc. All Rights Reserved 


 結果、この難しいとされていたCGの生物感表現への到達に対し「もう時代がここまで来たのか!」と多くの観客は動揺を隠すことができなかった。さらには徹底した守秘の体制も、このCG恐竜の衝撃に拍車をかけたのだ。予告編ではガリミムスの走る遠景ショットしかCG恐竜を見せず、劇場での本編で初めて全体像が明かされるというプロセスが、より大きなインパクトを放ち観客の視覚をつらぬいたのである。




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