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『宇宙からの脱出』精緻な考証に基づいた傑作SFサスペンス(前編)

(c)Photofest / Getty Images

『宇宙からの脱出』精緻な考証に基づいた傑作SFサスペンス(前編)

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あらすじ②



 軌道上では、プルエット船長が船外修理をしようとしていた。だが地上のフライトディレクターは、15分間の船外活動のために、通常の酸素量の3~4時間分が失われることから、強硬に反対する。そして船内気圧を0.35気圧まで抑え、燃料電池の消費を減らすために電源を極力OFFにした上で、鎮静剤を服用して眠るように指示する。


 だがロイドは、救出計画をまったく信用していない。するとX-RVのパイロットに任命されたドハティが、無線で軌道上の3名を励ます。同僚である彼の声で落ち着いたプルエットとストーンは、地上スタッフに委ねると腹を決め、鎮静剤を服用する。だが、それでも信用しないロイドは、飲んだふりをして捨ててしまう。


 ケープカナベラル空軍基地では、タイタンIIICの組み立ても急ピッチで進められていた。キースは、全てのチェックシートに予めサインを済ませ、ぶっつけ本番で行くと空軍システムディレクターに指示する。その晩ドハティとキースたちは、徹夜でX-RVのプログラミングとフライトシミュレーションを繰り返していたが、どうしてもアイアンマンと軌道が反れてしまう。


 その時、気象衛星ニンバス3号がハリケーンの画像を送って来た。ちょうど打ち上げ時刻に、ケープカナベラル空軍基地を、風速35mの暴風雨が襲うと予想される。キースは大統領に、風速20mまでなら打ち上げ可能だと説明する。またソ連に救援を要請したが、アイアンマンとボスホート宇宙船では軌道が合わないと却下される。


 軌道上では起床した3名が、時間を持て余していた。ストーンは科学者らしくデータを記録し続け、ロイドはいちいち悪態をつく。その時、ヒューストンのフライトディレクターが、プルエット船長に地上を見るように命じた。しぶしぶ彼が窓を覗くと、自分の故郷であるサンディエゴで、アイアンマンのクルーを励ますために、街中が灯りをともしてメッセージを送っているのが見えた。


 そしてついにケープカナベラル空軍基地へ、大型ヘリコプターCH-3CでX-RVが運ばれて来た。同じヘリで到着したドハティは、キースに船体の改造と、プログラミングが何とか間に合ったと説明する。作業の様子を伝える報道関係者も集まってきた(中継アナウンサーを演じているのがケイディン)。そしてすぐさま、X-RVは第41番発射台に吊り上げられ、タイタンIIICのペイロードフェアリング内に収容される。




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