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『画家と泥棒』リアルかフェイクか? 3年半の密着取材が捉えた摩訶不思議な絆 ※注!ネタバレ含みます

© MadeGood Films 2024

『画家と泥棒』リアルかフェイクか? 3年半の密着取材が捉えた摩訶不思議な絆 ※注!ネタバレ含みます

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※本記事は物語の核心に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。



『画家と泥棒』あらすじ

2枚の絵画が何者かに盗まれた。画家は犯⼈を突き⽌めるも、犯人は「覚えていない」の⼀点張り。「あなたを描かせてー」画家の突然の提案から、思いも寄らない2⼈の関係が始まる。


Index


絵を盗んだ泥棒と、泥棒の絵を描く画家の物語



 多くの人が、「できすぎた物語」を信じることができず「リアリティがない」と言う。一方で「できすぎた実話」も「リアルじゃない」と言われがちだ。2020年のサンダンス映画祭で審査員特別賞に輝いた『画家と泥棒』は、「あまりにもできすぎている」という理由でフェイクではないかと疑う人が絶えないドキュメンタリー映画だ。


 ことの発端は、2015年にノルウェーの首都オスロで起きた盗難事件。とあるギャラリーで展示された2枚の油絵が盗まれたのだ。一枚は200cm×140cm、もう一枚は150cm×230cmとかなりの大きさである。


 犯人は、絵を木枠に固定していた200本の釘を丁寧に抜いてキャンバスだけを丸めて持ち去っており、その手際の良さからプロの犯行だと推察された。2人の実行犯は大胆にも防犯カメラから隠れようともせず、身元が特定されてほどなくして逮捕された。



『画家と泥棒』© MadeGood Films 2024


 絵の作者バルボラ・キシルコワは「無名な自分の絵がなぜ?」と奇妙に思い、裁判所で犯人のひとりと面会した。盗んだ理由を尋ねると、ベルティルという名の泥棒は「キレイだったから」と答えた。絵はどこにあるのか訊くと「ラリっていてまったく覚えてない」という。


 控えめに言っても疑わしい返答だが、バルボラは信じた。もしくは信じることにした。むしろ絵を取り返すよりも優先すべきことが生まれた。ベルティルの佇まいに強く心惹かれたバルボラは、全身にタトゥーを彫り込んだ泥棒に「絵のモデルになってほしい」とお願いしたのだ。





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