2025.07.02
『ミッション:インポッシブル3』あらすじ
イーサン・ハントは現役を引退し、新人スパイの育成にあたっていた。婚約者ジュリアとの結婚を控え幸せな日々を送っていたが、教え子が悪の組織に拘束されたことをきっかけに現場に復帰することを決意。強大な敵オーウェンが狙う“ラビットフット”の正体を探る。しかし、イーサンの婚約者ジュリアを誘拐されてしまい……。
Index
最新作で登場した3作目の要素
トム・クルーズの体を張ったスタントでおなじみの人気シリーズ『ミッション:インポッシブル』の最新作、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(以下、『ファイナル・レコニング』/25)が世界中でヒットを飛ばしている。公開から約一か月で、すでに5億ドルを超える世界興行収入を計上。シリーズの人気ととともに、トム・クルーズという稀代のスーパースターの吸引力を改めて証明した格好となっている。
『ファイナル・レコニング』でシリーズのファンに嬉しいのは、過去のシリーズ7作のストーリー上の要素を盛り込んでいること。とりわけ3作目『ミッション:インポッシブル3』(以下、『M:i:III』/06)で、それが何であるか謎のままにされていたアイテム“ラビットフット”の正体が明かされたことに、驚かされたファンも多いのでは。トム・クルーズ扮する主人公、極秘諜報組織IMFの敏腕エージェント、イーサン・ハントは、世界を混乱に陥れている事件が過去のミッションと関連していることを、ここで知ることになる。
『ミッション:インポッシブル3』(c)Photofest / Getty Images
『M:i:III』は、シリーズの中でもっともドラマの比重が大きい作品として知られているが、他の作品と比べると地味な印象を抱いている人も少なくないだろう。実際、アメリカではシリーズでもっとも低い、1億3千万ドル強の興収にとどまってしまった。しかし、これは作品のせいではなく他に理由がある。それについては後述するが、イーサン・ハントという人間のドラマを追求した作品として他にはない魅力を放っており、アクション主体の前2作よりも評価は高かった。改めて、このシリーズ第3弾を検証してみよう。
『M:i:III』の冒頭では、イーサンは一線を退いており、IMFで後進の指導にあたっている。そんなある日、ベルリンで任務に当たっていた教え子の危機を知り戦線に復帰。教え子は無残な死を遂げたが、巨大な陰謀を解き明かすカギを残していた。かくしてイーサンは、チームを率いて冷酷な武器商人デイヴィアンの陰謀に迫っていく。このデイヴィアンが欲しがっていたものが、最新作でも言及された“ラビットフット”である。