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『オズの魔法使』永遠に駆動し続ける、魔法のOS

(c)Photofest / Getty Images

『オズの魔法使』永遠に駆動し続ける、魔法のOS

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『オズの魔法使』あらすじ

カンザスの農場でおじ夫婦、愛犬のトトと共に暮らす少女・ドロシー。ある日農場を巨大な竜巻が襲い、気を失ったドロシーは家もろともオズの国へと運ばれてしまう。彼女は故郷に帰るため、臆病者のライオン、知恵がないカカシ、心を持たないブリキ男と共に、エメラルド・シティに住むオズの魔法使いのもとを目指す。


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あらゆる映画に落ちる、黄色いレンガの道の影



 筆者のように映画ライターとして日々資料にあたったり、作品の背景をリサーチしたりしていると、何かに導かれるように一つの古典へとたどり着くことがある。ほかでもない、ヴィクター・フレミング監督による名作中の名作『オズの魔法使』(39)がそれだ。


 たとえばアリ・アスター監督の『ミッドサマー』(19)で、ホルガ村へと出発する一行の足元に咲き乱れる黄色い花々は、異界へと誘う「黄色いレンガの道」の変奏だろう。ショーン・ベイカー監督の『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17)で、安モーテルの上に巨大な虹が架かり、ラストシーンで少女たちが駆け込むディズニー・ワールドは、現代に召喚されたエメラルド・シティそのものだ。


 タイ・ウェスト監督の『Pearl パール』(22)で、主人公がカカシと踊る場面は『オズの魔法使』オマージュだろうし、デヴィッド・リンチ監督の『ワイルド・アット・ハート』(90)では、善い魔女グリンダが空から降臨して主人公に助言を与えていた。


 まだまだある。ヤン・デ・ボン監督の『ツイスター』(96)で竜巻の内部を探るデータ収集機の名前は直球でドロシーだし、ウォシャウスキー姉妹の『マトリックス』(99)では、仮想現実から目覚める直前に「シートベルトを締めな、ドロシー。カンザスにはもうお別れだ」というセリフが飛び出す。ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』(09)でも、未知の惑星パンドラに降り立ったばかりの兵士たちに上官が「お前たちはもうカンザスにはいない」と訓示を垂れていた。



『オズの魔法使』(c)Photofest / Getty Images


 現代ホラーからディストピアSFに至るまで、あらゆるジャンルに「黄色いレンガの道」の影が落ちている。だが正直に白状すれば、筆者が初めて『オズの魔法使』を観た時は面白さがいまひとつ理解できず、映画ライター廃業レベルの薄い反応しかできなかったものだ。だがおそらくこの作品の真価は、面白い/面白くないという個人の評価軸をとうに超越した場所にある。


 いかに過去の名作であろうと、通常は時代と共に消費され、やがては歴史の飾り棚へと収まっていくのが宿命だ。しかし『オズの魔法使』だけは例外。この作品は過去の遺物となることを拒絶し、現代のクリエイターたちが自らの表現をテストし、未知の世界を立ち上げるための、現役バリバリのリファレンスであり続けている。


 なぜこの1939年の古典は、単なる消費の対象から、未来の作り手のためのプラットフォームへと変貌を遂げたのか。本稿では、筆者なりにその理由を解き明かしていきたい。




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