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『ARCO/アルコ』設定の異なる“2つの未来”を描いた、グラフィカルな傑作アニメーション

©2025 Remembers / mountainA / France 3 CINEMA

『ARCO/アルコ』設定の異なる“2つの未来”を描いた、グラフィカルな傑作アニメーション

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画未見の方はご注意ください。


『ARCO/アルコ』あらすじ

気候変動により荒廃が進んだ2075年の地球。10歳の少女イリスは、ある日、空から虹色の光を放ちながら降ってきた不思議な少年を助ける。その少年アルコは、虹色マントの力によりタイムトラベルが可能になった遥か未来から不時着したのだった。そしてその不思議なマントを手に入れようと、謎の3人組が迫ってくる。イリスとアルコは、追っ手を振り切りながら、元の時代に戻る方法を探す旅に出る。


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バンド・デシネの作風をアニメーションに



 アヌシー最高賞、アニー賞、ヨーロッパ映画賞、セザール賞ほか多くの映画賞を受賞し、近年のアニメーション界において存在感を放つ、サイエンス・ファンタジー・アニメーション映画『ARCO/アルコ』(25)が公開された。監督・脚本を手がけたのは、「バンド・デシネ」(BD)と呼ばれるフランス・コミックにおけるアーティスティックな作風をアニメーションに取り入れ、ラグジュアリーなメゾンとのコラボレーションなどでも知られる、フランス気鋭のクリエイター、ウーゴ・ビアンヴニュだ。彼が率いるスタジオ「Remembers」が制作をしている。


 本作『ARCO/アルコ』が持っている独自の映像美と物語の背後には、現代社会が直面する孤独や身体性の問題、そしてテクノロジーと人間の在り方を問う多角的なテーマが描かれている。ここでは、そんな本作の特異な制作手法やストーリー構成を見ていきながら、この映画が現代の観客に提示する魅力が何であるのかを解き明かしていきたい。



『ARCO/アルコ』©2025 Remembers / mountainA / France 3 CINEMA


 ウーゴ・ビアンヴニュの映像作家としてのルーツはハイブリッドなものだといえる。ビアンヴニュは『ジュマンジ』(95)や『キャスパー』(95)といったハリウッドのファンタジー映画に親しみ、7歳でTVアニメ「ドラゴンボールZ」に出会うことで日本アニメーションの洗礼を受けた。その後、宮﨑駿作品に傾倒していったという。大人になってからはミュージックビデオや短編映画、アニメーション制作を手がけ、2017年には、アメリカの内戦後にフランスに亡命したドナルド・トランプの息子の生活を想像したというコミックをBD作家として出版したりしている。


 そのように聞けば、本作のビジュアルはもちろん、世界観やテーマ性に繋がる要素を、そこから見出すことができる。また、彼のスタイルは、しばしば伝説的なアーティスト、メビウス(ジャン・ジロー)からの影響を指摘されるというが、興味深いことに、ビアンヴニュ自身はこれまでメビウスの作品には、ほとんど触れてこなかったのだという。





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