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『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』血の宿命を超えた、現代のスター・ウォーズ神話 ※注!ネタバレ含みます

(C)2026 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』血の宿命を超えた、現代のスター・ウォーズ神話 ※注!ネタバレ含みます

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孤独なガンマンが父になるまで



 そもそもこの物語は、2017年にジョン・ファヴローがルーカスフィルム社長のキャスリーン・ケネディに提案したアイデアから始まっている。


 ファヴローといえば、『アイアンマン』(08)でマーベル・シネマティック・ユニバースの礎を築いた監督であり、古き良き冒険活劇を愛する現代の語り部。そして、ケネディの引き合わせでタッグを組むことになったのは、デイブ・フィローニだ。彼は『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』(08〜20)等のアニメーション作品を通じて、ジョージ・ルーカスの哲学を最も深く理解し、銀河の歴史やマンダロリアンの文化を緻密に編み上げてきた、スター・ウォーズismの正統継承者である。


 この二人の化学反応は完璧だった。ファヴローが持ち込んだ「孤独なガンマン」というコンセプトに、フィローニの深い知識、そして「ヨーダと同じ種族の赤ん坊」という画期的なアイデアがミックス。何より重要なのは、彼らが本作の根底にマカロニ・ウェスタンの血脈を注ぎ込んだことだった。


 かつてクリント・イーストウッドが『荒野の用心棒』(64)で体現した、無口で冷徹なガンマン。ジャリンは、明らかにその系譜に連なる存在だ。彼は法も正義も届かない銀河のフロンティアを彷徨い、己の腕一つで生き抜く。このマカロニ・ウェスタンの美学こそが、フォースやライトセーバーを軸とした従来の神話とは一線を画す、激シブな魅力を生み出したのである。



『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』(C)2026 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.


 思い返せば、『スター・ウォーズ』の世界には、ダース・ベイダーやハン・ソロなど、「良き父になれなかった男たち」が多く登場する。ジェダイ・マスターであるオビ=ワン・ケノービやルークでさえ、弟子を導く師匠(=疑似的な父)としては手痛い失敗を経験してきた。その中で、不器用ながらも我が子を優先し、体当たりで父親になろうと成長していくディン・ジャリンの姿は、シリーズの中でも極めて異色といえる。


 守る者と、守られる者。シーズン1からシーズン3にわたって世界中の視聴者を魅了した二人の歩みは、ついに配信の世界を飛び出し、巨大なスクリーンへと堂々たる帰還を果たした。それが映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』(26)である。


 当初、物語はシーズン4として開発が進められており、2023年にはすでに脚本も完成していた。しかし、ハリウッドのストライキの影響で撮影は延期に。ルーカスフィルムは計画を見直し、このプロジェクトを劇場用映画として最優先で製作する決断を下したのだ。


 注目したいのは、ドラマシリーズの『マンダロリアン』ではなく、『マンダロリアン&グローグー』というタイトルが付けられたこと。ディン・ジャリン個人の物語から、彼とグローグーによる「二人の物語」へ。そして、ドラマで培われた「血の繋がらない父と子の映画」へ。


 このタイトルが指し示すのは、彼らがより固い絆で結ばれていくという、力強い宣言なのである。





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