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『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』血の宿命を超えた、現代のスター・ウォーズ神話 ※注!ネタバレ含みます

(C)2026 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』血の宿命を超えた、現代のスター・ウォーズ神話 ※注!ネタバレ含みます

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背中が語る、親子の新たな物語



 『マンダロリアン&グローグー』の構成を、筆者なりにざっくりまとめてみるとこうなる。


① 氷の惑星:帝国軍の秘密拠点への奇襲と制圧 

② 惑星ネヴァロ:新共和国からの特命 

③ 任務の条件:ハット・ツインズからのロッタ・ザ・ハット救出依頼 

④ 惑星シャカリ:剣闘士となったロッタ・ザ・ハットとの決闘

⑤ 惑星シャカリ:怪獣群の迎撃とアリーナからの脱出

⑥ 惑星シャカリ:ジャヌの捕縛と引き渡し

⑦ 惑星ネヴァロ:エンボによる拉致

⑧ 惑星ナル・ハッタ:ドラゴン・スネークとの死闘

⑨ 惑星ナル・ハッタ:猛毒に倒れたジャリン、グローグーによる看病

⑩ 惑星ナル・ハッタ:宮殿への再突入と最終決戦


 ①から⑧に至る流れは、劇場版にふさわしい圧倒的スケールのアクションのつるべ打ち。ところが⑨のシークエンスになると、映画の筆致は一気に反転する。致死性の猛毒に冒され、死の淵を彷徨うジャリン。死にゆく父親を見守るグローグーが健気に看病する姿を、カメラは饒舌なセリフを排し(そもそもグローグーは喋れないから当然なのだが)、じっくりと、丹念に映し出していく。激しいアクションの果てに、この映画は「ケア」という営みを配置したのだ。


 これまでグローグーは、命懸けで守り抜くべき庇護の対象だった。しかしこの場面では、自らを盾として命を落としかける瀕死の父を、子が逃げることを拒絶し、献身的に看病して命を繋ぎ止める。これは、守られる側から守る側への、決定的な転換だ。



『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』(C)2026 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.


 かつて『エピソード6/ジェダイの帰還』(83)でルークが父ベイダーの魂を救ったように、本作でも、猛毒に倒れたジャリンの命をグローグーが懸命に繋ぎ止める。「子が父を救う」というシリーズ伝統の神話的構図を鮮やかに継承しつつ、それを血の繋がらない擬似家族で体現してみせた点は特筆すべきだろう。


 この転換を見事に表現しているのが、解毒剤で復活したジャリンを捉える「背中」のカメラワークだ。目を覚まし、ジャリンがいないことに気づいたグローグー。カメラは彼の小さな背中越しに、父を探す様子を捉える。そして静かな引きのショットになり、グローグーの背中越しに、立ち上がったジャリンの力強い姿が現れる。あえて顔の表情を映さない演出。筆者は思わず、是枝裕和監督が「子供は背中から撮るのがいい」と言っていたのを思い出した。


 この「背中」は、本作の最も重要な視覚的テーマでもある。これまでグローグーは、操縦席の後ろに座り、広い背中で自分を守ってくれるジャリンをただ黙って見つめてきた。しかし、ツインズの宮殿への再突入という⑩の最終決戦で、グローグーは自らの意志で動き、主体的に他者を救う存在へと力強く成長する。


 そして、ラストシーン。常に父の背中を見ていたグローグーは、ついにジャリンの膝の上に座り、同じ景色を見つめながら、自らの小さな手で操縦桿を握ってハイパースペースへと飛んでいく。背中を追うだけだった子が、父と同じ視線に立ち、自ら未来の舵を切る。「子が父を乗り越える」、あるいは「父から子への継承」というテーマが、エモーショナルに結実した瞬間である。





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