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『インターステラー』科学的背景に基づいたブラックホール表現への挑戦

『インターステラー』科学的背景に基づいたブラックホール表現への挑戦

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ブラックホールの内部描写



 このように『インターステラー』は、従来にないほど徹底的に科学考証された映画だったが、映画のラスト近くに登場するブラックホール中心の描写は、まったくのイマジネーションで表現された。なぜなら、ブラックホール表面の“事象の地平面”(イベント・ホライゾン)内部を観測することは不可能であり、ましてやその中心部である特異点では、従来の物理学が崩壊してしまうからだ。


 さらに、クーパーの身体は潮汐力によってスパゲッティ化してしまう上、ブラックホール外の世界との時間差が無限大になってしまう。




 そこで、ワームホールを作った未知の存在(未来の人類)が、そこに特別な空間を用意してくれたというストーリーが描かれた。この空間は、マーフの部屋の本棚の裏側なのだが、「テッセラクト: 超立方体」が無限に繰り返す五次元となって、複数の時間軸上を空間と同様に移動できるように設定された。


 この抽象的表現を実現させるためにプロダクションデザイナーのネイサン・クロウリーは、ダブルネガティブのスタッフと3DCGと模型を用いてデザイン(*2)を繰り返し、ソニー・ピクチャーズ・スタジオ内に20~30mもある巨大なセットを作り上げた。そしてこのセット内にマコノヒーをワイヤーで吊るし(肩と腰の4点吊り)、クレーン撮影された。


 さらにこの映像は、ダブルネガティブによって1年がかりでデジタル処理され、前後左右上下に反復する無限空間として描かれた。そしてクーパーのメッセージがマーフに伝わると、この空間は内部に畳まれるように崩壊していく。この表現もダブルネガティブのスタッフが、超立方体の複雑な方程式を解くことで映像化したものだ。


*2 このテッセラクトは、各部屋のテクスチャーが伸びたようにデザインされている。これは、空間を時間軸でスライスしたことを表現しており、『2001年宇宙の旅』にも用いられているスリットスキャン画像が参考にされた。この表現は、スパイク・ジョーンズ監督によるApple HomePodのCMや、演出家グループのbifによる「Playgrounds Festival 2014」のオープニングタイトルにも影響を与えている。



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