SUPERMAN and all related characters and elements are trademarks of and c DC Comics. c 2011 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
あなたも空を翔べる!様々な技術が投入された『スーパーマン』の特殊効果
試行錯誤の飛行術
飛ばないスーパーマンは変質者と間違えられても不思議ではないが、1948年に製作された初の実写映画版『スーパーマン』では、飛翔シーンになると突然アニメーションとなった。実写での飛行には技術的な問題点が多かったことから苦肉の策でもあった。それから30年後も事情はさほど変わらない。人を浮かせるだけなら、創世記の映画でも実現させてきた。しかし、スーパーマンは地上から飛び立ち、空中を自在に舞い、華麗に地上へ降り立つ。それも一度や二度ではなく、全篇を通じて離着陸を繰り返すのだから、小手先のゴマカシでは済まない。
そこでスタッフは、どうやればスーパーマンの華麗なる飛行が成立するか試行錯誤を繰り返した。最も簡単なのは、ワイヤーで俳優を吊ることである。実際、スタジオのセット内ばかりか、ロケーションでも、スーパーマンを演じたクリストファー・リーブは長時間にわたって宙吊りとなって空を舞ってみせた。しかし、それも限度がある。華麗に空を舞うためには合成が不可欠だが、そこには大問題があった。
合成の背景には単色のブルーや最近ではグリーンの単色が使用され、後から単色部分を別の背景と差し替えることになるが、スーパーマンの衣装が極めて合成には不向きという問題があった。というのも、コスチュームの中に青が占める割合が大きいのである。そこで合成に適した青、つまりコミックやTV版のような明るい青ではなく、青にグリーンが混じった布を探し出すことになった。検討された布は30種類にも上り、1枚1枚をテスト撮影しながら、合成に最も問題がない青が選ばれ、スーパーマンの衣装が決定された。もちろん、こうした衣装の色の微妙な変更は、DCコミックスの許可を得て行われた。
『スーパーマン』SUPERMAN and all related characters and elements are trademarks of and c DC Comics. c 2011 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
ブルーバック合成はデジタル撮影が主流となった今も、映画、テレビ、Webで日常的に用いられる手法だが、フィルムの時代にはカラーで撮影した後に数回の工程を経なければならず、手間がかかる上に手前と背景部分のネガを組み合わせる際に、手前の被写体の周囲に枠が残ることがあり、合成しているのが丸わかりになることも少なくなかった。現在では、こうしたブルーバック合成だけで飛行シーンの大半は片が付くが、今のような合成のアラが見えないほど完璧に仕上がるわけではないので、『スーパーマン』製作当時は、ブルーバック合成、リア・プロジェクション、フロント・プロジェクションといった背景合成の手法が併用された。
リア・プロジェクションは、スクリーンの裏側から映写した背景映像の前に俳優が立って演技している様子を正面から撮るもので、合成をその場でやっているようなものである。停止した車の上で演技していても、背景が動いていればあたかも走行している車の上で撮っているように見えるというもので、本作ではアップなどでも活用されている。