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日本への偏愛に溢れた鬼才、ニコラス・ペッシェ監督が放つ『ピアッシング』という救済

日本への偏愛に溢れた鬼才、ニコラス・ペッシェ監督が放つ『ピアッシング』という救済

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「被害者」たちのラブストーリー



 2019年、折り返し。ここに来て、ものすごく贔屓したくなる偏愛映画に出会ってしまった。日本のコンテンツをハリウッドが実写映画化した『ピアッシング』だ。


 画面の随所から「日本愛」を感じさせる洋画は多々あれど、作品自体からどうしようもなく「日本」が立ち上る洋画は珍しい。村上龍の同名小説を米国の俊英監督ニコラス・ペッシェが実写化したこの映画は、絶妙な奇妙さと歪みをはらんだ怪作でありながら、我々日本人にとっては愛おしさが込み上げる特別な映画だ。



 暴力的な母親のもとで育ち、大人になった今でもトラウマに苛まれている男リード(クリストファー・アボット)。彼は、過去のある経験から殺人衝動を抱え、遂には幼い娘をアイスピックで刺したいという欲望を止められなくなる。家族を守るべく、彼はコールガールを殺すことにするのだが……。


 自傷癖を抑えるため、睡眠導入剤ハルシオンを乱用するSM嬢ジャッキー(ミア・ワシコウスカ)。彼女の次の仕事は、ホテルで待つ紳士的な男をほんの一時楽しませることだった。その相手というのが、リードだ。殺人衝動を抱える男と、自殺願望を持つ女が出会ったら、何が起こるのか?


 映画は、殺しの主導権をめぐって争う男女を、時に滑稽に時にスリリングに描きながら、両者の「消えない傷」が表出し、共鳴していくさまをドラスティックに描いていく。スリラーやサスペンス、或いはホラー仕立てではあるが、本質は運命の出会いを果たした「被害者」たちのラブストーリーといえるだろう。過激で加虐だが、優しさが心に響く。そんな不思議な風合いの映画だ。



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