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『ゴールデン・リバー』が描いたのは、「西部劇」ではなく西部開拓時代に生きる人々の物語

『ゴールデン・リバー』が描いたのは、「西部劇」ではなく西部開拓時代に生きる人々の物語


※本記事は物語の核心に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


Index


西部劇の枠にはまらない独特の風合い



 面白さは疑いようがない。だがこの映画、何とも奇妙だ。西部劇なのに、そうではない。サスペンスかと思いきや、ブロマンスの香りが漂う。撮影技法やカット割りも古風と新味が混ざり合い、作品全体が陽炎のように揺らめいている。風格たっぷりの重厚作だが、同時につかみどころがない。この独特の風合いは一体何なのだろう? こちらが予測するジャンルの枠をかわし続ける、変幻自在のブレ球映画だ。


 『君と歩く世界』(12)『ディーパンの闘い』(15)の巨匠ジャック・オーディアール監督が手掛け、ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッドという演技派たちが共演した本作。元々はライリーが映画化権を獲得し、オーディアール監督に打診したという。



 さらに、『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)『ビューティフル・デイ』(17)等を製作した「ホワイ・ノットプロダクション」や『her/世界でひとつの彼女』(13)『バイス』(18)で知られる「アンナプルナ・ピクチャーズ」が名を連ねており、2018年に行われた第75回ベネチア国際映画祭では、監督賞に当たる銀熊賞を受賞(ちなみに第75回ベネチア国際映画祭は、金獅子賞を『ROMA/ローマ』、審査員大賞を『女王陛下のお気に入り』がそれぞれ受賞している)。フランスのアカデミー賞であるセザール賞では、監督賞・撮影賞・美術賞・音響賞に輝き(第44回・19年)、映画としてのクオリティは十分すぎるくらい保証されている。


 本作の舞台は、ゴールドラッシュに沸くアメリカ。「最強の殺し屋兄弟」と恐れられる兄イーライ(ライリー)と弟チャーリー(フェニックス)は、権力者である「提督」の依頼で、科学者ウォーム(アーメッド)を追う。しかし、連絡係のモリス(ギレンホール)が2人を裏切り、ウォームと組んだことで事態は思わぬ方向に……。




 本作の面白さの1つは、4人の関係性が変化していく点。最初は「仲間3:敵1」だったのが、モリスの裏切りで「仲間2:敵2」へと変わり、4人が手を組んで黄金採掘を始めたことで「仲間4:敵0」に推移していく。さらに黄金を前にした瞬間、予想外の行動をとる者が現れ、混乱は加速。4人の運命は!?


 …という展開なのだが、額面通りに受け取ってコンゲームを期待すると肩透かしを食らうだろう。本作は、関係性が変わるという「筋」を楽しむというより、関係性の変化に至らせた4人それぞれの「深層心理」に想いを馳せる方がしっくりくる構造になっている。


 つまり、描こうとしているものは最初からキャラクター、「人間」自体なのだ。



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