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『未知との遭遇』スピルバーグの傑作SFに、映画監督トリュフォーがキャスティングされた理由

『未知との遭遇』スピルバーグの傑作SFに、映画監督トリュフォーがキャスティングされた理由


俳優以上にスクリーン映えのする名匠たち



 ところで、映画監督というものは時として、スクリーン上で味わいある存在感を披露することがある。一連の北野作品のように監督北野武が俳優ビートたけしを演出するというスタイルを持つものもあれば、巨匠ヒッチコックや『シックス・センス』のシャマランのように、ついつい自作に出ずにいられない監督もいる。他にもマーティン・スコセッシ監督は黒澤明監督作『夢』にゴッホ役で登場したことで有名。そんなスコセッシも『沈黙-サイレンス-』では塚本晋也監督を極めて重要な役でキャスティングしてみせた。


 とまあ、映画に出演する映画監督といえば枚挙に暇がないわけだが、ここであえてご紹介したいのが『アウトロー』(12)に出演したドイツの巨匠ヴェルナー・ヘルツォークである。


 悪を決して見過ごせない私立探偵(トム・クルーズ)が奮闘するこの映画でヘルツォークは、あろうことか悪の親玉として強烈な存在感をあらわにする。暗闇からふっと浮かび上がる顔立ちはライトによって陰影を際立たせ、セリフこそ多くはないものの、その眼光をギラリとさせただけで背筋が寒くなるほどの威圧感がある。これは怖い。怖すぎる。


 さらに映画ファンであれば、彼がニュージャーマン・シネマの代表人物として『小人の饗宴』や『アギーレ/神の怒り』、『フィツカラルド』など常識破りの怪作ばかりを連発してきた映画界のモンスターであることも百も承知であろうから、その経歴が「ヤバい空気を醸し出す悪ボス」としてのキャラをさらに増幅させることになるわけだ。


 かくも映画監督が俳優として出演するとき、そこには何らかの特殊な意味合いが付与されるものである。『未知との遭遇』のトリュフォーといい、『アウトロー』のヘルツォークといい、映画ファンへの目配せともいうべき箇所をしっかりと意識しすくい取ることで、楽しみ方は二倍三倍と膨らんでいく。それもまた映画という芸術が持つ、唯一無二の面白さと言えるのではないだろうか。



文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンⅡ』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。 



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(c) 『未知との遭遇 40周年アニバーサリー・エディション【初回生産限定】』

2017年10月18日発売  Blu-ray ¥4,743(税抜)

発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

(c) 1977, renewed 2005, (c) 1980, 1998 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

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