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デヴィッド・フィンチャー監督『エイリアン3』人気SFシリーズがたどりついた極北とは

(c)Photofest / Getty Images

デヴィッド・フィンチャー監督『エイリアン3』人気SFシリーズがたどりついた極北とは

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断ち切った前作のテイスト



 まず、前作『エイリアン2』(86)のおさらいをしておこう。リドリー・スコットの出世作となった1作目は本格的なSFホラーだったが、2作目の演出を任されたジェームズ・キャメロンは、アクション色を強めヒューマニズムを強く打ち出すことにした。狂暴な異星生物=エイリアンとの死闘をただひとり生き延びたヒロイン・リプリーは、今や人類の植民惑星となっていた因縁の星に再び向かい、唯一生き残っていた少女ニュートを救い出す。リプリーに理解を示していた兵士ヒックスも奮闘し、極限下を生き延びた彼らは疑似家族というべき絆で結ばれる。


『エイリアン』予告


 そんなヒューマニズムの温かみも手伝い、加えて折からのホームビデオの普及によってファンを増やし、1986年度の「キネマ旬報」誌・読者選出の外国映画監督賞をジェームズ・キャメロンが射止めた。実際、ホラーに徹した一作目よりも、本作の方が好きだというシリーズのファンは多い。


 しかし、『エイリアン3』の製作は、多くの観客に愛された前作の設定をチャラにすることから始まった。ニュートもヒックスも死んでしまい、生き残っていたのはリプリーのみ……前作の疑似家族の絆を描いたエピソードは、いったいなんだったのか? それを活かすことはできなかったのか?……“前作に対する冒涜”という声は、つまりはそういう意味だった。ちなみに、この映画の監督を断ったキャメロンは同時期に『ターミネーター2』(91)を演出。ここでも疑似家族の絆をドラマに盛り込み、作品を世界的なヒットに導いた。



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