『トップガン』ジェリー・ブラッカイマーとトニー・スコットの初タッグが生んだ地上の『スター・ウォーズ』

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2019.08.29清藤秀人

監督は思い半ばで他界。そして、続編は?

　続編の話が持ち上がったのは2010年のこと。パラマウントがジェリー・ブラッカイマーとトニー・スコットに企画を打診し、クリストファー・マッカリーに脚本執筆の依頼が届く。その時、「単なるリメイクにはしたくない。新しい映画を作りたいんだ」と明言していたスコットだったが、トム・クルーズに会って話を具体化させる直前(まさに前日だったという情報も)の2012年8月19日、自殺により突如帰らぬ人となった。

　派手な映像が先行しがちなスコット作品だが、本人は、「自分が魅せられるのはキャラクターだ。特に、恐怖に取り込まれていく人間の心理に興味がある」とコメントしている。そんな監督を魅了したのが、冷戦後の世界で目に見えない敵と対峙する『クリムゾン・タイド』の原子力潜水艦クルーであり、『エネミー・オブ・アメリカ』で国家安全保安局から命を狙われる弁護士であり、友を亡くした失意を克服してミッションを遂行しようとする『トップガン』のマーヴェリックなのだ。

　果たして、『トップガンマーヴェリック』をスコットが撮っていたら、どんな映画になっていただろうと思う。先人の遺志を引き継ぐのは、トム・クルーズと『オブリビオン』(13)でコラボし、やはりその映像美が高く評価されたジョセフ・コシンスキーである。続編の完成を前に、オリジナルを鑑賞して34年という膨大な時間の空白を埋めるのも一興かもしれない。

＜参考＞

http://www.bleacherbreaker.com/celebrity/the-need-for-speed-fast-facts-about-the-1980s-classic-top-gun/

https://en.wikipedia.org/wiki/Top_Gun

https://www.imdb.com/title/tt0092099/trivia?ref_=tt_ql_2

文 : 清藤秀人(きよとう　ひでと)

アパレル業界から映画ライターに転身。映画com、ぴあ、J.COMマガジン、Tokyo Walker、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"等に定期的にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社刊)等。現在、BS10 スターチャンネルの映画情報番組「映画をもっと。」で解説を担当。

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