2019.09.25
コッポラのネームバリュー
ルーカスは、MGM、パラマウント、20世紀フォックス、コロンビアに次々と資金調達を持ちかけるが、失敗。その後、独立系のアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズが興味を示すが、ストーリーにバイオレンスとセックスが不足しているという理由で、やはり出資を拒否。
ルーカスがまさに挫けそうになったその時、最後のハリウッド・メジャー、ユニバーサルが企画に興味を示し、低予算で作品を完成させることを条件に出資を承諾。同社は当初、60万ドルを製作費として計上するが、コッポラがプロデュサーに名を連ねたことから、さらに17.5万ドルが上乗せされる。『ゴッド・ファーザー』(72)の監督がお届けする、というキャッチフレーズが宣伝に役立つと考えたからだ。
『アメリカン・グラフィティ』(C) 1973 Universal Studios. All Rights Reserved.
こうして、ユニバーサルから資金及び芸術面のコントロールと最終的な編集権をゲットしたルーカスは、自由に映画が撮れる環境を手に入れたと思いきや、さにあらず。今度はタイトルにいちゃもんが付く。
スタジオのエグゼクティブたちは『アメリカン・グラフィティ』の意味を理解できず、代替案として"モデストのスローナイト"とか、"ロック・アラウンド・ザ・ブロック"とか、ルーカスの思いを無視したタイトルを全部で60種類を提案。ルーカスが譲らなかったことは言うまでもない。