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最新!A24のおすすめ映画67選!もはやオスカー常連の気鋭の映画会社
A24おすすめ映画67選! 2023~2025
58.『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(24) 監督:アレックス・ガーランド 109分
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『エクス・マキナ』(14)のアレックス・ガーランドが監督・脚本を手掛け、「もしアメリカで内戦が起こったら?」という“IF(もし)”を圧倒的なリアリティと臨場感で描いたセンセーショナルな一作。キルステン・ダンストが主演を務め、『プリシラ』(23)『エイリアン:ロムルス』(24)と勢いを増すケイリー・スピーニーが共演。ジェシー・プレモンスが扮した過激派も話題を集めた。
戦場に放り込まれたような凶暴な音響・敢えてライカの35ミリのスチール用レンズを使用したという生々しい映像表現はもとより、駆け出しの写真家と3人のジャーナリストがニューヨークからホワイトハウスを目指す旅の中で、激変したアメリカの現状を目の当たりにするというロードムービー要素、世代交代をフックに“継承”を描くなど、多層的な要素を含んだ本作。全米公開されると2週連続でランキング1位を記録し、全世界興行収入は1億2,000万ドル超を記録。日本でもヒットを記録し、『関心領域』(23)と共に第48回日本アカデミー賞で優秀外国作品賞を受賞した。
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59.『ドリーム・シナリオ』(23) 監督:クリストファー・ボルグリ 102分
“承認欲求おばけ”と化した女性の痛々しさを描き出した『シック・オブ・マイセルフ』(22)で鮮烈なショックを与えたクリストファー・ボルグリ監督が、アリ・アスターを製作総指揮に迎えて生み出した悪夢的スリラー。
ある日突然、自分とそっくりな男が人々の夢の中に出現するようになったことから大バズし、時代の寵児として祭り上げられるようになった大学教授(ニコラス・ケイジ)。一夜にして著名人になり、愛する家族との慎ましい生活に変化が訪れるも、スター気分を歓迎していた。だが、夢の中の男が危害を加えるようになったことで、状況は一変。顔が似ているというだけで迫害され、一気に転落人生を歩むことになる……。ほろ苦いラストシーンも含めて、SNS時代に対する強烈なアンチテーゼを感じさせる。ボルグリ監督は脚本・編集も兼任。撮影のベンジャミン・ローブは『アフター・ヤン』(22)『僕らの世界が交わるまで』(23)とA24関連作に多数参加している。
60.『ブルータリスト』(24) 監督:ブラディ・コーベット 215分
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俳優として『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(11)等に出演後、長編監督デビュー作『シークレット・オブ・モンスター』(16)や『ポップスター』(18)とエッジーな作品を手掛けたブラディ・コーベットによる長編第3作。215分(うち15分はインターミッション)の長尺で、ホロコーストを生き延びて渡米したハンガリー系ユダヤ人建築家の30年にわたる半生を見つめる。エイドリアン・ブロディが主人公のラースロー・トート、フェリシティ・ジョーンズがその妻エルジェーベト、ガイ・ピアースが夫婦の人生に影響を与える実業家ハリソンを演じた。
第二次世界大戦後、アメリカンドリームに希望を託して米国に移住したラースロー。離ればなれになった家族の早期アメリカ移住を条件にハリソンの依頼を受け、礼拝堂の設計と建築を進めるも幾多の試練がのしかかる。ブロディの演技はもとより画面を構築する総合力や完成度が絶賛され、第81回ヴェネツィア国際映画祭では銀獅子賞(最優秀監督賞)に輝き、第97回アカデミー賞では10部門にノミネートされ、主演男優賞、撮影賞、作曲賞を受賞した。
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61.『ベイビーガール』(24) 監督:ハリナ・ライン 114分
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A24と『Instinct(原題)』(19)『BODIES BODIES BODIES ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』(22)で組んだハリナ・ラインが監督・脚本を手掛けたエロティック・スリラー。有能なCEOの女性が挑発的なインターンの男性に翻弄され、上下関係が逆転していくさまをアブノーマルな筆致であぶり出す。
ニューヨークで一大企業を率いるロミー(ニコール・キッドマン)は、夫で舞台演出家のジェイコブ(アントニオ・バンデラス)や子どもたちと共に何不自由ない完璧な暮らしを送っていた。ただ彼女の中にはどこか満たされぬ欲望がくすぶっており、インターンとしてやってきたサミュエル(ハリス・ディキンソン)に見抜かれる。最初は抵抗するも、やがてサミュエルに支配される快楽に溺れていくロミーだったが、その関係は破滅と隣り合わせだった。
ポール・バーホーベン監督作『ブラックブック』(06)に出演したラインが『氷の微笑』等を参考にしつつ、現代的なコンプライアンスと紐づく価値観を付加。主役を託されたニコール・キッドマンが第81回ヴェネツィア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』(22)のソフィー・ワイルドも出演。なお、劇中に登場するロミーの会社はA24のNYオフィスで撮影された。
62.『終わりの鳥』(24) 監督:ダイナ・O・プスィッチ 110分
クロアチア出身の新鋭監督ダイナ・O・プスィッチの長編デビュー作。言葉を解する鳥の形をした死神と出会った母娘が目前の死を受け入れるまでの道のりを、独創的な物語展開と映像表現を交えて活写した。
難病に侵され余命わずかな少女チューズデー(ローラ・ペティクルー)と、最愛の存在に迫りくる“死”という現実を受け止められないままの母ゾラ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)。そんな二人のもとに、娘に命の終わりを告げる鳥「デス」が現れる。人語を話し、身体の大きさを自在に変えられるデスを、“お迎え”と捉えて受け入れようとする娘と、阻止しようとする母。二人は平行線のまま、ゾラが突飛な行動に出たことで事態が急変する。
万人に訪れる死別をストレートかつエモーショナルに扱った“難病もの”とは一味違い、世紀末的な展開等のウィットに富んだ道筋をたどりながらも、「本人の望みを無視した延命は本当に正しいのか?」という問いに帰結するヒューマンドラマだ。
63.『シンシン/SING SING』(23) グレッグ・クウェダー 107分
ニューヨークで最も厳重ともいわれるシンシン刑務所の実話をベースに、収監者たちが更生プログラムの一環である舞台演劇を通して絆をはぐくんでいくさまを見つめる。『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』(23)のコールマン・ドミンゴが主演を務め、第97回アカデミー賞主演男優賞に自身2度目のノミネートを果たした。
無実の罪でシンシン刑務所に収監されたディヴァインG(コールマン・ドミンゴ)は、所内で許された舞台演劇プログラムに打ち込むことで絶望的な日々を何とかやり過ごしていた。ある日、収監者の間で恐れられている札付きの男、通称ディヴァイン・アイ(クラレンス・マクリン)が加入。彼と向き合いながら次回公演に向けた準備を進めるうち、ディヴァインGの心境にも変化が訪れてゆく。
本作の特徴は、ディヴァイン・アイをはじめとした収監者を演じるキャストの多くは実際の元収監者であること。「俺たちはもう一度人間になるためにここにいる」等のセリフが、真実味をもって訴えかけてくる。第97回アカデミー賞では脚色賞と歌曲賞にもノミネートされた。
64.『異端者の家』(24) 監督:スコット・ベック、ブライアン・ウッズ 111分
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『クワイエット・プレイス』(18)の製作総指揮・原案・脚本を手掛けたスコット・ベック&ブライアン・ウッズによる宗教スリラー。ヒュー・グラントの怪演が話題を呼び、第82回ゴールデングローブ賞の主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門)候補入りを果たした。
宗教勧誘のため森の中の一軒家を訪れたうら若き女性二人(ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト)。迎え入れた家主(ヒュー・グラント)は「妻が奥でブルーベリーパイを焼いている」と言うが一向に姿を見せず、電波も届かず中からドアが開けられない奇妙な構造の家にも恐怖を感じ始める女性陣。やがて家主は、二人の信仰心を試す残酷な試練を強いるのだった――。
恐るべき仕掛けが施されたお化け屋敷的な“家ホラー”の恐怖に加え、支配的な男性による知識や価値観の押し付けという現実的な恐怖の両面で攻め立てる本作。モノポリーの歴史を例に理論武装で宗教をコケにしたり、時折ハラスメント発言を混ぜ込んできたりと従来のイメージを覆すヒュー・グラントの姿が衝撃的だ。
65.『クィア/QUEER』(24) 監督:ルカ・グァダニーノ 135分
『君の名前で僕を呼んで』(17)『サスペリア』(18)『チャレンジャーズ』(24)など精力的に制作を続けるルカ・グァダニーノが、「裸のランチ」で知られるウィリアム・S・バロウズの自伝的小説を映画化。ダニエル・クレイグが、ひたすらに愛を求める孤独な男を赤裸々に演じ、第82回ゴールデングローブ賞の主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされた。
1950年代のメキシコシティ。アメリカ人駐在員のリー(ダニエル・クレイグ)は街で見かけた青年ユージーン(ドリュー・スターキー)に心奪われ、さりげなくも必死に猛アプローチ。徐々に交友を深め、遂に一夜を共にする。しかし、ユージーンはリーを拒まないものの内面には立ち入らせない。懊悩の末、リーは南米の旅にユージーンを誘い出す。
ジェームズ・ボンド役で知られるクレイグが、相手の反応に一喜一憂したり「言葉なしで君に触れたい」と懇願するほど一途な想いに振り回されてしまうピュアで危うい主人公を熱演。『ソーシャル・ネットワーク』ほかデヴィッド・フィンチャーとのコラボレーションで知られる作曲家コンビ、トレント・レズナー&アッティカス・ロスのスコアも劇中を彩る。
66.『We Live in Time この時を生きて』(24) 監督:ジョン・クローリー 108分
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『ブルックリン』(15)のジョン・クローリー監督、『ミッドサマー』(19)のフローレンス・ピュー、『アンダー・ザ・シルバーレイク』(18)のアンドリュー・ガーフィールドが顔をそろえたラブストーリー。限りある時間を前向きに生きようとするカップルの姿を、過去と現在を交錯させながら紡ぎ出した。ベネディクト・カンバーバッチが制作総指揮で参加。
かつてはスケーター、現在はシェフとして才能を発揮し、自分の店を持つ夢を叶えたアルムート(フローレンス・ピュー)。離婚してどん底状態のトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)。交通事故を通して出会った2人は恋に落ちるも、その交際は順風満帆とはいかなかった。本作は2人に起こったすれ違いと衝突、和解の数々をザッピング形式で見せながら、余命わずかという運命を受け入れたアルムートと彼女を支えんとするトビアスの残された時間を切なくもエモーショナルに輝かせている。
敢えて話者ではなく聞き手にクローズアップし、その表情の変化で感動を高めるなど、演技達者な面々を活かした演出が光る。A24ファンにとっては『カモン カモン』(21)『シンシン/ SING SING』の作曲家ブライス・デスナーが手掛けた劇伴もポイント。
67.『MaXXXine マキシーン』(24) 監督:タイ・ウェスト 103分
タイ・ウェスト監督×ミア・ゴスによる『X エックス』シリーズの第3作。第1作の6年後を舞台に、夢のハリウッドスターへの道を駆け上がるマキシーンが自身の暗い過去と巷をにぎわせる連続殺人事件に向き合っていく。第1作はスプラッタホラー、過去編となる第2作はミュージカルと毎回ジャンルが変わってきた本シリーズ、第3作は80年代の刑事もののニュアンスが強く、軽やかさはキープしつつも欲望渦巻くハリウッドの裏側にも踏み込んでゆく。
『X エックス』から引っ張ってきた謎も解き明かされる本作。最大の強みはなんといってもミア・ゴス扮する主人公マキシーンの“強さ”で、どれだけピンチに見舞われても己の夢のためには臆せず屈せず、猛然と突き進んでいく姿が頼もしい。マキシーンを起用する映画監督に『TENET テネット』(20)のエリザベス・デビッキ、連続殺人事件を追う刑事に『ミッション:インポッシブル』シリーズのミシェル・モナハン、先輩女優に『あと1センチの恋』(14)『Mank マンク』(20)のリリー・コリンズ、マキシーンに付きまとう探偵役にケビン・ベーコンといった豪華キャストが集結。
2022年に設立10周年を迎えたA24。今後の待機作としては、『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』のフィリッポウ兄弟の新作『Bring Her Back(原題)』、レイ・メンドーサ×アレックス・ガーランド監督によるイラク戦争の伝記映画『Warfare(原題)』、ユニコーンを車ではねてしまったことから勃発する騒動を描く『Death of a Unicorn(原題)』、隣人との関係がトラブルに発展していく不条理劇『Friendship(原題)』、表舞台から姿を消したポップスターの邸宅に招かれた記者が経験する恐怖『Opus(原題)』ほか強力なラインナップがひしめいている。この先も、映画ファンの心のよりどころになっていくことだろう。
文:SYO
1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「シネマカフェ」「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema」
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