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最新!A24のおすすめ映画49選!もはやオスカー常連の気鋭の映画会社

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最新!A24のおすすめ映画49選!もはやオスカー常連の気鋭の映画会社

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A24おすすめ映画49選! 2020~2023





33.『ミナリ』(20) 監督:リー・アイザック・チョン 115分


第93回アカデミー賞で作品賞を含む6部門にノミネートされ、ユン・ヨジョンが助演女優賞(韓国出身の俳優としては史上初)に輝いたヒューマンドラマ。『ムーンライト』のA24×プランBによるコラボ作品でもある。


アメリカンドリームを夢見て渡米した韓国人の家族が直面する厳しい現実を、そっと見守るような優しさでつづった本作。アメリカ映画ではあるが、劇中に登場する言語のほとんどが韓国語であるという珍しい作品でもある。


なお、タイトルの「ミナリ」とは、韓国語で香味野菜のセリのことを指す。劇中でどのような意味を持つのかが分かったとき、暖かな感動に包まれることだろう。


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34.『Zola ゾラ』(20) 監督:ジャニクサ・ブラヴォー 86分


とある女性が自身の衝撃的な体験をつづった148のツイートを基にした実録スリラー。ウェイトレス兼ストリッパーのゾラ(タイラー・ペイジ)は、知人のステファニ(ライリー・キーオ)に誘われ、大金を稼ぐ旅に出る。それが悪夢の始まりとも知らず……。


不条理コメディのような空気感や、空間の中に人物をぽつんと立たせる傍観的なショット、ゴージャスながらどこか古ぼけたチープな質感など新鋭ジャニクサ・ブラヴォー監督のセンスが光る一作でありながら、男性が女性に行う暴力や性搾取といったテーマに切り込むなど、鋭い問題提起もはらんでいる。


撮影監督はのちに『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(21)を手掛けるアリ・ウェグナー。『カモン カモン』(21)『Don't Worry Darling(原題)』(22)のケイティ・バイロンがプロダクション・デザインを担当するなど、豪華なスタッフが集った。


あわせて読みたい:『Zola ゾラ』ジャニクサ・ブラヴォー監督 ポップな表現に込めた意図とは




35.『マクベス』(21) 監督:ジョエル・コーエン 105分


ファーゴ』(96)『ノーカントリー』(07)で知られるコーエン兄弟の兄ジョエルが、妻のフランシス・マクドーマンド、そしてデンゼル・ワシントンと共にシェイクスピアの有名悲劇に挑んだ野心作。第94回アカデミー賞では主演男優賞、美術賞、撮影賞にノミネートされた。


出世欲に取りつかれたマクベスとその妻が悪鬼のごとく豹変していくさまをワシントン×マクドーマンドの2大オスカー俳優が熱演。モノクロの特性を生かし、光と影のコントラストを大胆に用いた映像美にも圧倒される。


劇場専用作品ではなく、Apple TV+の配信作品であることも本作の特徴。アカデミー賞撮影賞にノミネートされる作品が配信作品であることに、時代の流れが感じられる。日本では劇場で限定公開された。




36.『カモン カモン』(21) 監督:マイク・ミルズ 109分


人生はビギナーズ』(10)では自身の父、『20センチュリー・ウーマン』(16)では母を題材にしたマイク・ミルズが、子どもをテーマに据えて紡ぎ出した木漏れ日のような傑作。


ホアキン・フェニックス扮するジャーナリストが、妹夫婦の事情に伴い甥を預かることに。甥と行動を共にしていくなかで子育ての難しさを知り、父性が芽生えていく。『ジョーカー』(19)で世紀の怪演を見せつけたフェニックスが、ナイーブで理知的な男性を丹念に演じ、その表現力で静かな衝撃を与えた。


子どもに対して大人からのバイアスをかけず、一個人としてフラットに映し出す敬意にあふれる視線が特長。主人公と甥の関係性にとどまらず、アメリカの各地に暮らす子どもたちのインタビュー風景を通し、いまを切り取る手腕は流石の一言だ。


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37.『グリーン・ナイト』(21) 監督:デヴィッド・ロウリー 130分


A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』(17)に続く、A24とデヴィッド・ロウリー監督のコラボ作品。死後の世界や残留思念を切なくも神話的に描いたロウリー監督が新たに挑むのは、ファンタジーアドベンチャー。『LION/ライオン 〜25 年目のただいま〜』(16)のデヴ・パテルが主演を務め、『リリーのすべて』(15)のアリシア・ヴィキャンデルが2役を演じた。


14世紀の叙事詩であり、「指輪物語」の作者J・R・R・トールキンが翻訳したことで人口に膾炙したとされる「ガウェイン卿と緑の騎士」を翻案。全身が木に覆われたような“緑の騎士”、言葉を話すキツネ、大地を踏みしめる巨人など、ファンタジーの世界の住人が多数登場し、独自の映像世界で躍動する。


ダークで幻想的な世界観に目を奪われるが、神話的な要素や主人公の内面の成長・変化を描く旅といった側面は『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』にも通じる。




38.『LAMB/ラム』(21) 監督:ヴァルディミール・ヨハンソン 106分


日本でも長らく公開が望まれていたホラー。アイスランド・スウェーデン・ポーランド製作の作品であり、A24はアメリカ配給を手掛けた形(製作には入っていない)だが、それでもしっかりとA24カラーを感じさせるあたり、同社のブランディングの上手さが光る。


人里離れた山地で羊を飼育し、農場を営む夫婦。かつて子どもを亡くしたトラウマを抱えるふたりのもとに、新しい命がもたらされる。しかしその“子ども”は、人とも羊ともつかぬ異形の存在で……。


設定からして寓話ホラーの印象が強いが、本作は「母」をめぐる物語でもある。アメリカ版ポスターの「Mother」と「Nature」が対比構造にあるデザインが秀逸だが、生みの親である羊と育ての親である人間(ノオミ・ラパスの演技の圧がすさまじい)の対決が描かれ、そこに過去の喪失まで絡んできて……という闇深いストーリーは、痛烈な後味を残すことだろう。




39.『X エックス』(22) 監督:タイ・ウェスト 105分


A24初となるシリーズ構想がぶち上げられた本作。前3部作を予定しており、前日譚となる第2作『Pearl(原題)』が、トロント国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭で上映されたのち2022年9月16日より全米公開予定。


第1作となる『X エックス』の舞台は、1979年のアメリカ・テキサス。エッチな自主映画を撮影するため、とある農場を訪れた男女6人。しかしその住人である老夫婦は身の毛もよだつ殺人鬼で……。というあらすじだけを見るとコテコテのB級感あふれる映画なのだが(ルックも往年のホラー映画のオマージュにあふれ、B級感満載)、そこで終わらないのが興味深い。


実は本作、主演のミア・ゴスが農場にやってきた女優マキシーンと殺人鬼の老婆パールの二役を演じており、両者が鏡映しの関係になるような構造になっているのだ。パールが生まれながらのサイコパスではなく、殺人衝動に取りつかれる動機も描かれており、“老い”というテーマにまで掘り下げられていく。本作の価値は、パールのルーツを描く『Pearl(原題)』によって高まっていくことだろう。


あわせて読みたい:『X エックス』驚きの配役によって実現した哲学的スラッシャー映画 ※注!ネタバレ含みます。




40.『アフター・ヤン』(22) 監督:コゴナダ 96分


小津安二郎監督をこよなく愛し、『コロンバス』(17)やApple TV+ドラマ「Pachinko パチンコ」(22〜)のエピソード監督を担当したコゴナダ監督による静謐なSFドラマ。


クローンやAI技術が進んだ近未来。家族同然だったAIロボットのヤン(ジャスティン・H・ミン)が故障で動かなくなってしまい、困り果てた父親ジェイク(コリン・ファレル)は、彼を修理できないか奔走。その過程で、ヤンには家族も知らない記憶があることがわかり――。


オリジナル・テーマ曲を坂本龍一が制作し、『37セカンズ』(19)で知られるAska Matsumiyaが音楽を担当。美的センスが随所に感じられる空間演出や切ない物語と溶け合い、エモーショナルに響き渡る。『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(17)等のA24作品にも出演してきたコリン・ファレルの哀愁をたたえた妙演も、作品の余韻を高めている。




41.『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22) 監督:ダン・クワン、 ダニエル・シャイナート 139分


2023年の第95回アカデミー賞において、作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞・編集賞の最多7冠を制したA24最大のヒット作(2023年4月現在。世界興行収入1.4億ドル)。『スイス・アーミー・マン』(16)の監督コンビ、ダニエルズによる“マルチバースもの”で、プロデューサーには『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)のルッソ兄弟が名を連ねている。


夫(キー・ホイ・クァン)と共にコインランドリー店を経営するエヴリン(ミシェル・ヨー)は、税金問題や娘(ステファニー・スー)との関係に悩む日々を送っていた。そんなある日、“別宇宙の夫”から世界を救う使命を託され、彼女は覚醒していく。


別のユニバースにいる“自分”からスキルをダウンロードして戦う設定、アクション・ドラマ・コメディ等の多ジャンルが詰め込まれたストーリーとビジュアル面の“遊び”、母と娘の関係性を問い直すテーマ性など、新味が詰まった一本。


あわせて読みたい:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』“家族”という呪いを解く未曾有のマルチバース映画 ※注!ネタバレ含みます。




42.『ザ・ホエール』(22) 監督:ダーレン・アロノフスキー 117分


第95回アカデミー賞にて主演男優賞とメイクアップ&スタイリング賞に輝いた室内劇。重度の肥満症で家から出られない体重272㎏の男性チャーリー(ブレンダン・フレイザー)。疎遠になっていた娘との再会、傍らで支えてくれる友人との対話、忘れられない恋人との思い出……。後悔を抱えた主人公が悔恨を乗り越え、天に召されるまでの最期の5日間を描く。


セクハラ被害による心身のダメージ等によって表舞台から遠ざかっていたブレンダン・フレイザーが復帰を果たした話題性はもちろん、大幅に増量して役作りを行った彼の渾身の演技が、物語の強固な“背骨”として1本筋を通している(家から出られない男の室内劇であるためほぼ出ずっぱり)。『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)や『マザー!』(17)ほかアロノフスキー監督の特徴である“信仰”の恐ろしさと尊さを劇的に描いた、感情がうねるようなドラマ演出も鮮烈だ。


チャーリーの娘役には『ストレンジャー・シングス』(16〜)のセイディー・シンク、友人役を『ザ・メニュー』(22)のホン・チャウが務めた。


あわせて読みたい:『ザ・ホエール』ブレンダン・フレイザー 誰の人生の中にもチャーリーはいる【Actor’s Interview Vol.31】




43.『BEEF/ビーフ ~逆上~』(23) 監督:リー・サング・ジンほか(全10話)


A24製作による、全10話からなるNetflixオリジナルドラマ。『ミナリ』(20)のスティーヴン・ユァン、『アリ・ウォンの魔性の女になりたくて』(22)のアリ・ウォンが、ホームセンターの駐車場での些細なトラブルから憎悪を募らせ、「ディスり合う(BEEF)」男女に扮した。


トラブルで祖国の韓国に戻ってしまった両親を呼び戻すため、なんとか金を工面したい建築業者ダニー(スティーヴン・ユァン)。事業で成功を収めるも、早く売却して家族と過ごしたい経営者エイミー(アリ・ウォン)。エスカレートしていく“激突映画”の側面を持ちつつ、空虚さを抱え、幸福を渇望する両者が、周囲を巻き込みながら本音を表出させていく“自己解放”ドラマへと展開していく。


ユァンとウォンが共演したNetflixアニメ『トゥカ&バーティー』(19)の脚本家リー・サング・ジンが監督を務めたほか、『37セカンズ』(19)のHIKARIがエピソード監督として参加した。




44.『レッド・ロケット』(21) 監督:ショーン・ベイカー 130分


フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17)のショーン・ベイカーが監督・共同脚本を手掛け、落ちぶれた出戻りポルノスターの刹那的な日常を描く。


無一文になり、別居中の妻(ブリー・エルロッド)の家に転がり込んだ元ポルノ俳優のマイキー(サイモン・レックス)。過去の栄光にすがる彼は、ドーナツ店で働く少女(スザンナ・サン)に惹かれ、再起を図ろうとするのだが……。


後悔も反省もなく、道徳心は皆無で欲望任せ、周囲に迷惑をかけまくる“有害な男性性”そのもののような主人公をあっけらかんと描きながら、どこか爽やかさを纏わせるベイカー監督の手腕が光る一作。R18+(日本公開時のレート)指定の過激な描写や前述の(ある種時代と逆行した)内容含めて、攻めた意欲作といえるだろう。


あわせて読みたい:『レッド・ロケット』21世紀のアメリカン・ニューシネマ




45.『aftersun/アフターサン』(22) 監督:シャーロット・ウェルズ 101分


新鋭シャーロット・ウェルズ監督の長編デビュー作にして、第95回アカデミー賞助演男優賞ノミネート、第76回カンヌ国際映画祭国際映画祭批評家週間の公式ポスターに起用されるなど旋風を巻き起こした父娘の物語。


離れて暮らす31歳の父カラム(ポール・メスカル)とトルコ旅行にやってきた11歳のソフィ(フランキー・コリオ)。二度と返ってこない夏休みのひとときを、父と同じ年齢になった娘の視点で“再生”していく。


説明的なセリフやシーンを極力抑え、娘の目線で見た「最愛の父が抱える孤独のわからなさ」を余計なバイアスをかけることなく余白たっぷりに描写。クラブのシーンを何度もフラッシュバックさせ、娘が父に“近づいていく”さまを映し出す演出、ビデオカメラを効果的に用いた映像など、淡々とした空気感の中にも卓越したセンスが随所に感じられる。



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