4.『勝手にふるえてろ』(17) 監督:大九明子 117分
松岡の映画女優人生を決定づけたといってもいい、ターニングポイント的な傑作。本作を境に、演技力が求められる力作への出演が急増していく。松岡を絶対的な存在に押し上げた一作ともいえるだろう。
24歳のOLヨシカ(松岡)は、10年間片思い中の中学時代の同級生“イチ”(北村匠海)を日々脳内に召喚したり、ネットでアンモナイトの化石を購入してひたすら愛でたり、インドアな生活を満喫していた。そんなある日、会社の同僚“ニ”(渡辺大知)に告白されたことから、彼女の人生は劇的に変化していく――。
恋愛映画の正統派なヒロインとは真逆の、クセが強くて痛々しいキャラクターを、愛おしいまでに人間くさく演じ切った松岡。他者と目を合わさず、愛想も振り向かない“コミュ障”な「素」と、ハイテンションで社交的な「願望」という両極を、ON/OFFの切り替えで見事に魅せる。ミュージカルシーンまでやってのけ、コメディエンヌぶりを存分に発揮。それでいて、傷つきやすいマイノリティの感情をこれでもかというほどリアルに掬いとっているから、脱帽させられる。
劇場公開時、本作は大いに評判となり、メイン館である新宿シネマカリテの興行収入歴代1位を記録したほか、国内の多くの映画賞を獲得。海外の映画祭にも出品される好結果を残した。
なお、余談だが、錦戸亮と共演したテレビドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(17)でも、松岡は弾けまくったミュージカルシーンに挑戦している。
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